せんだい探偵小説お茶会

Sendai Reading-Party of Mystery

33rd event

第33回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

エラリー・クイーン『スペイン岬の秘密』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、7月8日(土)に第33回読書会を開催します。今回の課題本はエラリー・クイーン『スペイン岬の秘密』です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

 

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

それでは、今回のホストからの紹介文をどうぞ!

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皆様,如何お過ごしでしょうか? 暑い5月から,少し肌寒い6月に入り,今年の天気はいったいどうなってしまったんだ,梅雨は来るのかと,心配しつつ,わたくし次回のホスト,クイーンファンは第33回読書会、課題本にふさわしい,陽射しまぶしい7月のことを思い浮かべております。
クイーンファンを名乗っているのですから,慧眼なる皆様は,もうおわかりでしょう。そうです,今年もやってまいりました。クイーンまつりが!
今回の謎の物語は,夏の終わりが舞台ではありますが,時期は、ぎりぎり合っているといって良いでしょう。なぜならジュブナイルの題名は「夏別荘の怪事件」。ミステリだけじゃものたりない。夏気分も味わいたい! 本作品は,7月の読書会にはぴったりの作品であるはずです!

どんな話かというと…。
スペイン岬と呼ばれる花崗岩塊の突端にある別荘の海辺で,海に向かってテラスの椅子に腰掛けていた死体は,黒い帽子を被り,舞台衣裳めいた黒のマントを肩から掛け,ステッキを手にし…あとはまったくの裸だった!大西洋に突き出した岬に建つ大富豪邸で起きた殺人事件。解決に乗り出したエラリ-を悩ませる謎はただひとつ!  なぜ犯人は被害者の服を脱がせたのか?
如何です? もう,手に取って読みたくなったでしょう! 今回の課題本は誉れ高き国名シリーズの1冊(国名シリーズ9作目にして掉尾),「スペイン岬の秘密」 (エラリー・クイーン著 越前敏弥・国弘喜美代 訳 角川文庫)です。

本作品はクイーン作品の中でも,犯人を当てやすいと思われる方がいるのではないかと思います。また,クイーンといえば「読者への挑戦」を掲げる作品がいくつかあるのですから,「読者への挑戦」を掲げるほどのものではないと思われる場合もあるかと思います。ですが,本作品は,その「読者への挑戦」,そして本格ミステリの最高峰であると,ホストは考えています。おっと,これ以上を語るのは野暮というもの。「犯人を当てる」のでなければ,何のための「読者への挑戦」? そう疑問に思った方は,是非手にとって読んでいただき,本読書会に参加していただき,夏のクイーン祭りを一緒に楽しんでいただければと思います。
是非、本読書会に参加してミステリの深淵に触れてみませんか。
奮っての御参加、心よりお待ちしております。

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■日程:2017年7月8日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場: 生涯学習支援センター(旧:中央 / 和室)
(宮城野区榴岡4丁目1番8号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:エラリー・クイーン『スペイン岬の秘密』
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

※読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

 

31st report

第31回 せんだい探偵小説お茶会主催

パーシヴァル・ワイルド「検死審問」

読書会レポート

執筆者:蒔野正徳

3月20日にせんだい探偵小説お茶会にて、第31回の読書会を開催いたしました。
今回の課題図書はパーシヴァル・ワイルド「検死審問」。
既に絶版になっていることを知らずに告知を出してしまった世話人。。。
周りから指摘されて初めて既に絶版であることを知り、青くなりつつもAmazonをポチり。
な~んだ、マーケットプレイスで200円とか300円で買えるじゃん。大丈夫大丈夫♪・・・と思いつつも参加申し込みが来るまでは安心できないぞ、と。
告知時に訳者である越前先生も参加を表明。
お、ということは越前先生が何冊か提供してくれたりなんて。。。と他力本願なことを思っていたら、手元に1冊しかないことを告げられ、あえなく撃沈。
不安いっぱいで読書会当日を迎えるわけですが、結局はホスト、越前先生を含めて過去最多の16人に参加頂けました。
ありがたやありがたや。
しかも、参加された中で図書館から借りての参加者はおらず、皆さんが何らかの方法にて課題本を入手しての参加で、これには越前先生も私もびっくりでした。
みなさんからのお菓子の差し入れに手をのばしつつ、読書会が開始となりました。
(みなさん、毎度毎度のお菓子の差し入れ、ありがとうございます)
★ ネタバレではないですが、未読の方は以下の感想を読まないほうが、より作品を楽しめるかと ★
みなさんからの感想としては、好意的な意見が多く、
「ベネットが探偵小説について語っている部分がおもしろかった。特に、「腕利きの探偵が・・・」の部分」
「ベネットの小説があったら、好きになりそう。ベネットの作品はハーレクイン作品かも」
「〇〇が嫌いで、死ねばいいのに。と思ってたら、ホントに死んだ」
「最初に芝刈り人が語っているので、家主であるベネットが殺されたと思って、読み進めていたので、中盤でベネットが生きていることが分かって驚いた」
「三谷幸喜作品のように思えた」
「ベネットが推理小説に関してけちょんけちょんに言っているが実は好きなんじゃないかな、と思われた」
「この作品については、批判めいたことは一切言わない。それぐらい好き」
「ユーモアミステリであり、謎解きはどうでもよい」
「証言者ひとりひとりが個性的」
中でも、
「ベネットが殺されていたと思ってた」
という意見が多く聞かれました。
確かに、使用人が証言している段階で、家主やお金持ちが殺される、というのは定番の1つですからね。
★★★ ここまで ★★★
読書会後は懇親会へと流れるのが通例ですが、今回はもうひとつイベントを設けてみました。
当読書会の発起人が作成したミステリーカルタでのカルタ大会です。
取り札がミステリー小説の装丁、読み札が裏表紙の解説という作り。
登場する作品は、過去に当読書会で課題本となったミステリー+α
これがかなりのクオリティー!
量産して販売したら。。。と下世話なことも思いつつ。
さて、参加者全員でのカルタ大会となり、みなさんかなり白熱した戦いを繰り広げていました。
自分の好きな作品はどうしても取りたい!との思いから身を投げ出して取りに行く人も。
当然、自分の好きな作品はよく知っているから、取りやすいはず。
しかし、そこはこのカルタ、一筋縄ではいかないのです。
エラリー・クイーンを題材にすることが多いことから、全取り札の4分の1程度がクイーン作品という始末。
さらには、Xの悲劇、Yの悲劇については、出版社違いで同一作品が複数枚存在するというマニア仕様。
普通、出版社毎の裏表紙の解説の違いなんて覚えてませんから。。。
最終的には、当読書会の重鎮2名が同数の取り札でトップとなりました。
うちの1名はお手付き回数でもトップでしたが。
白熱したカルタ大会の後は懇親会。
ミステリー小説とカルタ大会の感想を肴においしいビールをいただきました。
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32nd event

第32回 せんだい探偵小説お茶会主催

森下雨村『白骨の処女』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、5月20日(土)に第32回読書会を開催します。今回の課題本は森下雨村『白骨の処女』です。

今回は国内ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

それでは、今回のホストからの紹介文をどうぞ!

 

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ミステリ読書会界隈では古典と言えば仙台と言われるほど
海外回の課題書が濃厚なせんだい探偵小説お茶会ですが
国内回の課題書はちょっと軽めが多いです。
国内回も少しレベルアップをしたいなぁ…
でも、オススメ出来るほどの物を読んでないし…と思っていたやさきに
福島読書会のHさんから
「河出が最近復刊した『白骨の処女/森下雨村』が面白い」
と勧めていただき読んでみると
なぜコレが今まで埋もれてたのだ
なぜ森下雨村は埋もれてしまったのだ
と思うほど面白い一冊でしたので、さっそく課題書に選んでみました。

“探偵小説の父” ”乱歩世代最後の大物”とも評される
新青年初代編集長・森下雨村の埋もれた名作『白骨の処女』
ぜひ御一読下さい。
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■日程:2017年5月20日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:生涯学習支援センター(旧:中央/第一セミナー室C)
(宮城県仙台市宮城野区榴岡4-1-8)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:森下雨村『白骨の処女』
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。
これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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31st event

第31回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

パーシヴァル・ワイルド『検死審問 -インクエスト-』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、3月18日(土)に第31回読書会を開催します。今回の課題本はパーシヴァル・ワイルドの「検死審問 -インクエスト-」です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。



検死審問という日本では聞きなれない英米の司法制度を題材にした名作。
「法に照らし合わせて、罪の有無を決める」という一般の裁判とは異なり「死因を法的に確定させる」という何ともビミョウな制度。(あくまで私見です。)

本書は検死官リー・スローカムを中心に物語は進んでいくのですが、この検死官がとんでもない。
「法律では、わたしはなんでも好きにしていいとされている。」
とのことから、好きなように検死審問を進めていく。
例えば、やたらと審問を引き延ばそうとする理由が、陪審員は日当3ドル、検死官は1ページの証言を聴取するごとに25セント、速記者は1ページ書きあげるもしくは読み上げる毎に10セントもらえるというもの。
(しかも、速記者にはスローカムの娘を任命するという公私混同も甚だしい始末)

一見関係なさそうな証言から徐々に事件の詳細が浮き彫りにされていくストーリーは秀逸の一言。
かの江戸川乱歩が「1935年以降のベスト・テン」の1作として本作を上げているほど。

「名作は色褪せない」そんな本作を是非、ご一読。

今回は、特別ゲストとして、訳者の越前敏弥先生もいらっしゃいます。
翻訳秘話などお聞きできるチャンスです。

 

■日程:2017年3月18日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:青葉区中央市民センター 和室
(宮城県仙台市青葉区一番町2-1-4)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:パーシヴァル・ワイルド『検死審問 -インクエスト-』

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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30th event

第30回 せんだい探偵小説お茶会主催

奥泉光『吾輩は猫である殺人事件』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、12月10日(土)に第30回読書会を開催します。今回の課題本は奥泉光の『吾輩は猫である殺人事件』です。

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今回は国内ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

それでは、今回のホストからの紹介文をどうぞ。

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夏目漱石没後100年の今年、お茶会でも漱石を取り上げられないかしらと思ったとき、まっ先に浮かんだのがこの本――奥泉光『『吾輩は猫である』殺人事件』です。漱石の文体模写により『猫』の続篇をミステリー仕立てで書いたという超絶技巧の作品。

著者自身によるPRは次のとおり――

「『猫』の最後で麦酒に酔って溺死したはずの猫が上海に現れて、苦沙弥先生の殺害を知るところから小説は始まります。一体誰が犯人なのか、迷亭か独仙か、はたまた東風か寒月か。前半の読み所は国際都市上海に集った世界の猫による一大推理合戦です。後半はスリルとサスペンスに満ちた猫の冒険。これにはかなり自信があるんです。迷亭、寒月といったお馴染みの登場人物も総出演します。とにかく、小説の面白さを何もかも詰め込んだ作品でして、少なくとも、近代小説史上、著者自身がこれほど絶賛した作品はない(笑)。

これを十分味わうにはやはり、まず漱石の『吾輩は猫である』を読んでおくべきでしょう。ストーリー的には特に関連はありませんが、キャラクター設定を呑み込んでおいた方がよいので。まだ『猫』を読んだことがなかったという方は、日本文学の古典を一つ制覇するチャンスですぞ。

両作ともボリュームたっぷりですが、ナニ恐れる必要はありません。一たび文章のリズムに乗ってしまえば、湧き返る言葉の奔流に気持ちよく運ばれていくばかり。さあ、おじけるな。名無し君とともに、跳べ!

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■日程:2016年12月10日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 第3和室
(青葉区大町2丁目12番1号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:奥泉光『吾輩は猫である殺人事件』(河出文庫)
夏目漱石『吾輩は猫である』

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※携帯メールは受信できない場合があるようです。主催者側から返信の無い場合は、お手数ですがPCメールで再度ご連絡ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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29th event

第29回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

アガサ・クリスティー『ナイルに死す』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、11月19日(土)に第29回読書会を開催します。今回の課題本はアガサ・クリスティーの「ナイルに死す」です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

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古典といえば「仙台」というほど、せんだい探偵小説お茶会では古典本格ミステリを課題図書としてきた実績があります。

しかしながら、何故なんでしょう、〈ミステリの女王〉ことアガサ・クリスティーは取り上げられることがほとんどありませんでし た。

クリスティー派も声を上げなくては、このままではいけないとの危機感から、今回はアガサ・クリスティー『ナイルに死す』を課題 図書といたしました。

クリスティーのミステリ作品中一番長いものであり、その本の厚さゆえに読むことをためらっていた方も多いのではないでしょう か。
この機会を逃さず挑戦して下さい。
今までこの本を読んでなかったことをあなたは後悔するでしょう。

何といっても舞台はナイル河をさかのぼる豪華客船の船上ですのよ、ゴージャス!
親友ジャクリーンの婚約者だったサイモンを奪い、目下新婚旅行中の美貌でお金持ちのリネット。
その幸せをぶち壊したくストーカーとなり、どこまでもつきまとうジャクリーン。
何故かその不穏のただ中にいるエルキュール・ポアロ。
そして惨劇の幕明け。

この本を読まずにクリスティーを語るなかれでございますよ。
事件がなかなか起きないから、この本は退屈だなんておっしゃらないで。
事件は既に始まっているのですよ。あなたが本を開いたときから。

読書会にて皆さまの感想を聞かせて下さいませ。

■日程:2016年11月19日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:シルバーセンター 和室
(宮城県仙台市青葉区花京院1-3-2)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:アガサ・クリスティー『ナイルに死す』

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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27th report

第27回 せんだい探偵小説お茶会主催

エラリー・クイーン『チャイナ蜜柑の秘密』

読書会レポート

執筆者:仙台のクイーンファン

第一幕
せんだい探偵小説お茶会がめでたく4年目を迎え,エラリー・クイーン作品の読書会が年の恒例行事となり(えっ,いつ?),今回企画したのは,「チャイナ蜜柑の秘密」(角川文庫 訳 越前敏弥・青木 創)でした。
これまでの読書会で取り上げたクイーン作品は,数あるランキングの中でも燦然と輝く評価を得ていましたが,「チャイナ」は1983EQFC(エラリー・クイーンファンクラブ)国名シリーズ+1アンケート9位,1997EQFC全長編アンケート13位,2014EQFC国名シリーズ+2アンケート9位,「密室大集合」アンケート8位と,EQFCの中でも評価の分かれる作品でありました。ですが,作者の一人,フレデリック・ダネイが自選1位にした本書。
梅雨明けを迎えた翌日で,暑さの厳しい中,せんだい探偵小説お茶会では,どのような評価になるのか?とホストは不安を抱えながら,会場で参加者と向きあうことになりました。
ホストは,参加者が少ないのではないか(作品のせいではありません。ホストの宣伝に対する不安です)と危惧していましたが,12名の参加者の方々に参加していただきました。そして,今回も前回の「エジプト十字架の秘密」読書会同様,アンケートも書いていただき,読書会が始まったのでした。

第二幕(「チャイナ蜜柑の秘密」のネタバレあり。未読の方は,絶対ここから下は読まないでください。絶対に後悔します。)

★既読の方は、反転してお読み下さい★
毎回,クイーン読書会では,作品にちなんだお菓子が出てきます。福島読書会の世話人の方からは,意見として「冷凍蜜柑」を進められていましたが,ホストは「蜜柑」から「オレンジクッキー」。そして密室からキューブ型の「生キャラメル」を出させていただきました。他に世話人から「オレンジマカロン」。参加者からは「チョコレートオレンジ」や本物の「蜜柑」をいただきました。
閑話休題。
さて,自己紹介を終えて読書会は本書の内容へと。初読の方は8名,その内で犯人がわかった方は0名と解釈しました。再読の方でカーの「三つの棺」を読む前に,読んでおくべき「密室」作品の中に本書が提示されていたので,読んだというYさん。Yさんは「密室」と知っていたから,「密室に閉じ込められたのは一人だから」という論理で,初読時に犯人を当てることができたようです。某出版社の古い訳の見開き紹介文や密室アンソロジーのアンケート結果にも本書の名前が出ていて,それを目にしてはいましたが,ホストは初読時に犯人を当てることができませんでした。Yさんの慧眼に感服しました。

「感想や疑問点」をキーワードに参加者の方々から,それぞれお話をうかがうと,
「表紙がかわいすぎ」
「全体に楽しげな感じ」
「この密室は作れないのではないか」
「密室の作り方がわかりにくい」
「本当にわかりにくい」
「EQFCの『チャイナ橙クッキング』を見てやっとわかった」
「大丈夫です」
「作者が『逆向き』という言葉をつかって話を創りたかったんだろうな」
「犯人が死なないような場所で,謎解きをすればいいのに」
「創元推理版はですます調で,新訳版は砕けた感じのしゃべり方になっていることに気付いたとき,事件と関係があると思っていましたが,関係なかったので残念でした」
「犯人のところに,入れ替わり立ち替わり人が訪れているシーンで,この人が犯人ではあり得ないと,すり込まされたところに感心した」
「聖職者の格好がイメージできないところが残念だった」
「楽しさはいつ始まるの?結構,体力のいる読み物だった」
「ホテル住まいが,かっこいいと思った」
「みんなの意見を聞かないと気づけない部分が多い作品」
「20分ですべて逆向きにする意味がわからない」
「この犯人の心理がわからない」
「JJマックがプロットでわかったと書いてあって,本当にわかったの?」
「被害者の扱いが,ひどいと思えた」
「論理について,自分が決めたルールにこだわりすぎているのではないか」
「蜜柑に意味がなかっのは,拍子抜け」
「論理がトリックでぶちこわされた」
「手紙を盗むのは,いかがなものか」
「クイーンらしくない作品」
「カーに近いかな。ディクスン・カーが書いたら大傑作になったのでは」
「唯一完全なアリバイを持っている人間が,容疑者に変わってしまうところが面白い」
「論理が無茶苦茶」
「おもったよりも,つまらなくなかった」
「ジューナが可愛かった」
「ディバーシーさんが共犯では。そうだと可能だよね」「犯罪の動機となる人の描写が少ない。冷たい」
「なぜ,こんなことを考えたのかしら」
「やりすぎな感じが好き」
「本棚って,重くて立派なものですよね」
「登場人物紹介が意味をなしていない」
「再読で読み返すと,登場人物紹介が意味深なものとなっている。犯人のところにコーテーションマークがついている」
「クイーンにしては随分機械的なトリックを考えた」
「ツッコミどころが多いので,トリックとアリバイが結果的に印象に残る形となった」
「時代を感じる作品」
「白い僧院,オリエント急行,毒蛇が書かれた年で,後世に残る作品が多く出た年と思った」
「犯人は,わざわざ本物かどうかわからない切手を奪わずに,横領をした方が良かったのでは」
「エラリーの傲慢で尊大なところ,事件をゲームとしてしか考えていない軽薄さが,やっぱり嫌い」
「パズルだけの小説にはつきあいたくない」
「謎の魅力は評価できる」
「メインプロットは単純だが,本筋とは関係のない筋で膨らましている。三分の一ぐらいの長さにできるとすっきりしたのではないか」
「タンジェリンが中国切手のことを語っているので,タイトルは中身にリンクしていた。国名シリーズの題名の中では良いと思えた」
等々,盛りだくさんな内容が出てきました。その中でも,密室トリックはわかりにくい,という意見は,ほとんどの人が感じていたようです。そして,「そんなに,嫌いじゃない。わりと面白く読める」等々,(気を遣っていないことを信じて)面白い読書体験だった様子も窺えました。

感想発表の終わりには,お茶会の重鎮,T氏から「プロットについては無理がある。犯人に問いただしたい」とホストへと突然の依頼が入り,いきなり8分半の裁判劇が始まったのでした。ホストはアドリブで答えるはめに。その中から,終盤の名場面と思われるところを,お届けします。(内容をわかりやすくするため一部文言を変えてあります)

T:「犯行場所を別なところにして,例えばホテルで会うようにして,犯行に及ぶと危険は少なかったのではないですか」
ホスト:「それをすると,自分がカーク氏になりすましたときに,X氏(被害者)に疑われるのではないか。それを最小限にするためには,カーク氏の事務所を利用した方が良いのではないかと考えました」
T:「でも,相手は初対面ですよね」
ホスト:「カーク氏は社交界にも出ていたので,写真で知られているかもしれないと思い,事務所を利用することに決めました」
T:「ともあれ,ああいう形でX氏に会って,殺して切手を奪ったわけですよね。そのとき,はじめて,相手が神父でカラーが後ろ前なのに気付いたと。そこで,後ろ前のカラーとネクタイがないことを隠すために部屋の中のすべてのモノを逆向きにした。ふつうの人ならこういう発想は浮かばないと思うんですが,あなたは探偵小説マニアなんですか」
ホスト:「はい」
T:「それで,密室のトリックも考えていたわけですね」
ホスト:「そうです」
T:「ただ,服をすべて逆向きにしてもネクタイがなかったことは隠しようがないのではないですか」
ホスト:「……そのとおりです」
T:「そうすると,カラーの後ろ前を隠すためだけに,あれだけの偽装をしたということになりますね」
ホスト:「はい。本当であればネクタイを取りに行きたかったのですが,取りに行けなくて。あと,伝道師が神父とは知らなかったので,知っていたらネクタイを持ってきていたかもしれません」
T:「あの部屋の中のすべてを逆向きにする。しかも着衣からは,ラベルを切り取る。そういう作業をすべてするのは,なかなか大変だと思いますけども,例えば本がいっぱい詰まったままで本棚を動かせましたか」
ホスト:「一度,本を出してから動かしました」
T:「そうすると,すべての作業をするのに,どれくらいの時間がかかったのですか」
ホスト:「20分でした」
T:「……なるほど。よほど素早く立ち回ったわけですね。作業中,誰か来ませんでしたか」
ホスト:「来ませんでした」
T:「もし、誰か来たらどうするつもりでしたか」
ホスト:「今,でれないと答えます

T:「そうではなく,ドアを開けて入ってきたらです」
ホスト:「両方の扉を閂で閉めていました」
T:「普通の客だったら,それで済んだかもしれませんが,カーク氏が来たら,どうするつもりでしたか」
ホスト:「………………………カーク氏は戻らないと思っていました」
T:「そういう,あやふやな推測をもとに,そんなリスクのある行動を犯すものでしょうか」
ホスト:「犯さないですね」
T:「そもそも,後ろ前のカラーを隠すだけなら,衣類を全部脱がせて,持ち去った方が手っ取り早かったのではないですか」
ホスト:「それが,したかったのですが,クイーンの別の作品でするので,できませんでした」
T:「わかりました。やっぱり,この犯行には無理がありますね」
(Tさんからの,突然の申し出,本当に楽しませていただきました。幸甚の至りです)

 裁判劇後に,ふと「そもそも,後ろ前のカラーを隠すだけなら,衣類を全部脱がせて,持ち去った方が手っ取り早かったのではないですか」の回答が,楽屋落ちみたいなもの以外も,あったことに気付きました。それは,犯人は犯行後,密室に閉じこもるわけですから,衣類を隠す場所に悩んだのではないか。密室もしくは待合室で隠された衣類が見つかると,すぐに自分が疑われてしまうのでは,と考えた末の行動だったのかもしれません。

 また,この裁判で,少ない脳髄を無理矢理しぼってしまい,電池切れの状態になってしまったホストは,Y氏のこの後の質問にとんちんかんな答えをしてしまったこと,その回答をするために,待たせてしまった参加者の皆さんにお詫び申し上げます。(録音を聞くと,本当に忸怩たる思いがしました。Y氏の指摘通りです)
第三幕 (ここからは,未読でも読むことができます)
「ダネイがお気に入り作品の一つとして「チャイナ」を挙げたのはなぜだと思いますか?」という質問でお話をうかがうと,
「頑張って,チャイナと蜜柑を盛り込んだぜ。自分で話を作って,着地させたぜ」
「自分が好きな要素を盛り込んだ。読者のためというよりは,自分のための作品。縛られることなく,自由に書いた」
「自分が書きたいことを,全部書けた」
「やりたいことは,やったんだろうな」
「デビューしてから時間がたち,書けるようになって,遊び心のあふれる作品にできたからではないか」
というご意見をいただけました。自由に楽しみながら創っている様子が,読む側にも伝わったのかもしれません。

第四幕
「あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞では」,ジューナの人気が断突でした。
少数意見では,ルイーズ,オズボーン,バーンが出されました。特筆すべきなのは,エラリーが最低最悪だという意見がいくつか出てきたことでした。そして具体的な場面と台詞の回答で多かったのが,マイナスのエラリーでした。エラリーは,たしかにホストである私も,ひどいと思うところは多々あります。ですが,胸を張ってこう言いたい,何も思われないよりは嫌われる方が記憶される。私は,そういう人にあこがれると。(ただし,なりたいというわけではありません)
ルイーズは峰不二子みたいと,同性の方からの意見がありました。オズホーンは,悲哀を感じるところが印象に残ったようです。今作品はキャラクターに対して,あまり思い入れできないという意見もありました。それについては,ボーナストラックのホストのあれこれの中で触れたいと思います。興味のある方は,そちらもご覧ください。ただし,「チャイナ蜜柑の秘密」を未読の方はご遠慮ください。
最後の15分で,EQFCの飯城勇三氏のアンケートと,ホストのあれこれを話して2時間が過ぎ,読書会は終了となりました。ホストは,今回も皆さんのおかげで,濃密な夢の深淵をのぞき見たような充実した時間を過ごすことができ,幸甚であります。
参加された皆さんが,正直な意見を語ってくれたことで,この作品に感じる魅力を再確認できた思いであります。私は,今後もミステリGO! でミステリの深淵に触れて行きたいと思います。
懇親会では,美味しくビールを飲むことができました。そして、今回もミステリの話題ばかり,
とにかく最高でした。
終幕
ボーナストラック
(「チャイナ蜜柑の秘密」のネタバレあり。未読の方は,絶対ここから下は読まないでください。絶対に後悔します。)
今回、読書会でアンケートにご協力していただき,結果が以下のようになりました。
せんだい探偵小説お茶会のアンケート結果

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
参加者 5 7 4 1 4 6
参加者 7 6 6 6 10 6
参加者 6 4 7 8 7 5
参加者 7 6 7 6 7 5
参加者 5 3 6 6 7 3
参加者 5 4 5 9 3
参加者 4 3 7 6 5 2
参加者 7 6 9 6 7.5 5
参加者 7 6 7 7 6 6
参加者 6 5 6 6 5
参加者 8 8 6 8 6 7
ホスト 8 5 8 8 8 9

EQFCのアンケート結果

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
平均点 6.3 5.3 6.8 6.2 6.9 5.2

せんだい探偵小説お茶会のアンケート結果

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
平均点 8.5 7.5 8.7 7.7 8.8 7.0

お茶会の方が,EQFCよりも若干厳しい評価ではありました。お茶会の皆さんだったら,すぐにFCに入会できそうてすね。「エジプト」のお茶会評価は,参考で掲載しました。

飯城勇三氏のアンケート回答(Queendom89より抜粋)
01.「初読」の感想
「あべこべ」に結びつけるエラリーの推理にわくわくした。(略)
02「再読」の感想
再読するたびに評価は低くなる。(略)しかし,何度再読しても,相変わらず,「妙に面白い」。なぜだろう。(略)
03.「チャイナ蜜柑の秘密」を以下の点から評価してください。(各項目10点満点。10点の基準はこれまで読んで来たミステリ作品で,10点と思えるものと比較して点数をつけてください。)
プロット=(6),サスペンス=(5),解決=(7),文章=(7),パズル性(論理性)=(8),感動・余韻=(5)
04.あなたがもっとも好きな(印象深い)キャラクターと場面と台詞
キャラ:ジェームズ・オズボーン
アイドルが自分を見て微笑んだだけで「彼女は俺に惚れているんだ」と勘違いしてストーカーをするオタク的な人物に思えた。
場面=(エラリーとアイリン・リューズの対決シーン)
「青年探偵と美貌の女犯罪者の対決」というのは,実にわくわくする。
台詞=(ラストのテンプル嬢のセリフ)
我々読者は,以前の作品で「意味がなさそうなものに意味を見いだす」エラリーの姿を何度も見ているのだから,「なにもありません。あの男はおなかがすいていたのだという以外」は,ないですよね。ひよっとして,これもまた,「あべこべ」なのだろうか。「あべこべの密室」,「あべこべの手掛かり」,そして「(いつもと違う)あべこべの推理」。作中人物にこんなツッコミをさせるということは,クイーンは確信犯だったに違いない。
05.ダネイがお気に入り作品の一つとして「チャイナ」を挙げたのはなぜだと思いますか?
「チャイナ」に見られる変なところは,間違いなくダネイの発想だろう。しかしリーはこういう発想はあまり好んでいなかったらしい。つまり,ダネイが本作品を気に入っているのはリーの抵抗に打ち勝って自分の好みを前面的に押し出せたから。では,なぜリーが一歩引いたかというと,「シャム」での「山火事が迫る中での殺人」というアイデアと全編に漂う緊張感,双子の少年の魅力的な描写から,ダイイングメッセージのアイデア以外をリーが主導権を握って書き進めたからと思える。マンネリ打破のため二人がそれぞれ自分の好みを全面的に押し出した作品が「シャム」と「チャイナ」だったのかもしれない。(「災厄の町」と「靴に棲む老婆」もそうかもしれない。)

ホストのあれこれ
01.「チャイナ蜜柑の秘密」を読んだ感想
○今回の読書会に向けて3回読了。計5回目読了。これまでのエラリーの活躍はヒーロー的に思えていましたが,本作品では道化師のようなイメージに。小栗虫太郎の法水麟太郎ものや,アントニー・バークリーのシェリンガムものを思い出しました。個人的には暴走する推理が好きなので,本作品のエラリーの暴走ぶりに興奮しました(符号に対する執着と推理。そして窃盗と不法侵入)。初読時は密室の意味や推理に感心して面白く読んだ記憶があります。ただ,再読してみるとおかしなところが多々見られるようになりました。しかし,Queendom「チャイナ」特集と法月綸太郎氏の「笠井潔論(大量死と密室)」を繙くと,本作品の違った魅力がいくつも見えてきました。
飯城さんの「妙に面白い」という感想には,同感であります。
○違った魅力とは何なのか? 本格ミステリとしての瑕疵は置いといて,作家としてのクイーンの変遷をたどる上で本作品は,ターニングポイントになっていることがQueendom「チャイナ」特集から読み取ることができました。クイーンはルイス・キャロルが好きで,その嚆矢となったのが本作品で有り,「アリス」三部作,「チャイナ」「キ印ぞろいのお茶会」「神の灯」が作られたと考えられています。「チャイナ」に瑕疵があった分,「キ印」「神」と改善されていく様子もわかります。「チャイナ」は長編向きではなかっただろうという意見もあり,クイーン自身それを感じて,アリス三部作の後ろの2作を短,中編としたのかもしれません。その三部作を順に追って読むと,かなり面白いです。是非!(※1参照)
また,ライツヴィル作品以後の作品で見られるエラリーの暴走推理(奇妙な論理)の片鱗がここから始まったとも思われます。
○違った魅力その2。笠井潔はミステリが生まれた理由として,「人類が初めて体験した大量殺戮戦争である第一次大戦と,その結果として生じた膨大な屍体の山が,ポーによるミステリー詩学による極端化をもたらしたのである。戦場の現代的な大量死の体験は,もはや過去のものかもしれない尊厳ある,固有の人間の死を,フィクションとして復権させるように強いた。
機関銃や毒ガスで大量殺戮され,血みどろの肉屑と化した塹壕の死者に比較して,本格ミステリーの死者は,二重の光輪に飾られた選ばれた死者である。犯人による,巧緻をきわめた犯行計画という第一の光輪,それを解明する探偵の,精緻きわまりない推理という第二の光輪。第一次大戦後の読者が本格ミステリーを熱狂的に歓迎したのは,現代的な匿名な死の必然性に,それが虚構的にせよ渾身の力で抵抗していたからではないか。」(「新本格」派に若者の支持/朝日新聞92年9月1日付夕刊)と語り,この時代に生まれたミステリを「大戦間探偵小説」と論じています。この「大戦間探偵小説」とは「長編本格推理の黄金時代」(※2参照 ヴァン・ダイン「探偵小説ゲーム論」や「フェアプレイの原則」で象徴した「謎-論理的解明」を基本構造とする形式主義的な探偵小説)のことと考えると法月綸太郎は補足しています。そして,法月は自身の評論「大量死と密室」の中で,「チャイナ」が「大戦間探偵小説」の時代に有りながらも,「大戦間探偵小説」に疑問を感じて「無名の被害者」と「トリック成立のために死体をモノ化してあつかう」ことを行い,「大戦間探偵小説」を超えた荒涼とした光景を見せ,ミステリを新たな地点へと向かわせたのではないかと語っています。クイーンファンとして鼻息荒く首肯してしまいます。また,他の登場人物の記号化も他作品を凌駕しているとも思われました。
○初読が創元推理文庫版で,その見開き紹介文も,とても魅力的だったことを覚えています。ですが,これは密室大集合のアンケート結果とともに「むっ」とうなってしまうところがありました。以下紹介文。
「宝石と切手収集家として著名な出版業者の待合室で,身元不明の男が殺されていた。しかも驚くべきことには,被害者の着衣をはじめ,その部屋の家具も何もかも,動かせるものすべて”さかさま”にひっくり返してあった。この”あべこべ”殺人の意味は何を意味するのか? 犯人はなんの必要があって,すべてのものをあべこべにしたのだろう? ニューヨーク・タイムズはクイーン最大の傑作と激賞したが,事実,国名シリーズの中でも卓抜した密室殺人事件として,特異の地位を占める名作である。」
事務室,待合室が死体によって「密室」を作られたことがわかると犯人がわかる仕組みになっているので,この紹介文とアンケートはいかがなものかと思っていました。ですがQueendomと法月の評論から,「チャイナ」の密室は,これまでの密室を扱った作品とは違って,犯人を閉じ込めるもので,作品とリンクした「あべこべの密室」と思えるようになりました。「チャイナ」そのものが,ミステリに対して”あべこべ”を提示し,ミステリを次の段階,より深淵へと導くマイルストーンの一つだったのかもしれません。

02.「チャイナ蜜柑の秘密」の点数。
プロット=(8)「魅力的な謎の提示を評価してです」,サスペンス=(5)「ちょっとつかみどころのないユーモアの方が横溢していたので。ルイス・キャロルの「アリス」シリーズを意識指定のでしょうかね。」,解決=(8),文章=(8),パズル性(論理性)=(8),感動・余韻=(9)「作品だけではなく,Queendom「チャイナ」特集と法月綸太郎「大量死と密室」も繙いた感銘から。」

03.あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞
キャラ:フェリックス・バーン「最近,嫌われる人物の行動について興味があり,つい魅力を感じてしまいます。でも,対した役どころではなかったですね。やっぱり暴走推理するエラリーですかね。」
場面=P324~P330。「読者への挑戦まえはワクワクしてしまいます。そしてロバート・ブラウニングの詩が入ってきたことにも。」
台詞=「あの蜜柑色の切手のことですよ。実のところ,あまりに魅力あふれる偶然の一致なので,いつかぼくが哀れなオズボーンと優しい顔の中国の伝道師の事件を小説化することになったら,”チャイナ蜜柑の秘密”という題名をつける誘惑に勝てそうもありません!」(これまで,題名に冠された手掛かりには,必ず意味を持たせてきたクイーンが,(本の主題,あべこべを意識して? )意味を持たせず,ただ題名につなげるエピソードにしたので,この台詞を選びました。)
04.ダネイがお気に入り作品の一つとして「チャイナ」を挙げたのはなぜだと思いますか?
○「なんて,ぼくは,すごい謎と解決を思いついたんだろう。そして,あべこべで全てやり遂げれば,これまでの形式化されたミステリを変え,新しいミステリを作れるかもしれないぞ」と思い、実際そうできたからではないでしょうか。ちなみにダネイの自選ベストは「チャイナ蜜柑の秘密」「中途の家」「災厄の町」「九尾の猫」「キ印ぞろいのお茶会」「エイブラハム・リンカンの鍵」です。(法月綸太郎の「大量死と密室」の中では「九尾の猫」についても触れられています。この作品とのつながりの評論も面白い! 読みたい方は,本書とエラリー・クイーン「九尾の猫」,笠井潔「矢吹駆シリーズ」,G・K・チェスタトン「折れた剣」,アガサ・クリスティー「ABC殺人事件」,S・S・ヴァン・ダイン「僧正殺人事件」を読んでからじゃないと後悔します。)

○ちなみにEQFCでのアンケートの平均点は,(2010/2~6)以下のようでありました。

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
参加者 6.7 5.6 6.5 6.2 6.9 5.6

(※1参照)
「キ印ぞろいのお茶会」『江戸川乱歩編世界短編傑作集4』創元推理文庫に収録。
「いかれ帽子屋のお茶会」『世界の名探偵コレクション』集英社文庫に収録。
「マッド・ティー・パーティー」『神の灯』嶋中文庫に収録。
「神の灯」『エラリー・クイーンの新冒険』創元推理文庫に収録。
「神の灯」『神の灯』嶋中文庫に収録。
(※2参照)
小説世界から社会的主題や人間の内面的な位相を消去することで、フェアで知的な論理ゲーム空間を構築することにあった。「項」と「項」を論理的に組み合わせて作る論理式のような作品こそが目指すべき理想像と考えられていました。

余談
○クイーンはルイス・キャロルだけではなく,ルーシー・モード・モンゴメリも読んでいてプラウニングの詩を引用したのではないかと思われます。なぜなら,エラリーのヒロインとして登場する女性は,赤毛である場合が多く見られるからです。(ニッキー・ポーターは作品によって髪の色が赤毛であったり、とび色であったり、ブロンドになったりしています。長編では赤なのでモンゴメリ作品の主人公のイメージがあって,それが投影された可能性が,あるのではないでしょうか。)
○前回の読書会でも触れていますが,今回もあえて触れさせていただきます。映画監督のデヴィット・リンチがクイーン作品の影響を受けていると妄想しています。今回の「チャイナ」は,リンチ作品の「ツイン・ピークス」とリンクする部分が多くあるように思いました。それは,「暴走推理の探偵」「あべこべの部屋(ブラック・ロッジとホワイト・ロッジ)」「奇妙な人々の事件と,関係ありそうでなさそうなエピソード」等です。物語の根幹をなす部分なのですから,たった3つじゃないかとは,言わないでくださいね。2017には,「ツイン・ピークス」の新シリーズが始まります。興味のある方は是非ご覧いただければと思います。(本当に毎回,デヴィット・リンチについて,しつこくてすみません。)

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28th event

 

第28回 せんだい探偵小説お茶会主催

皆川博子『死の泉』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、9月17日(土)に第28回読書会を開催します。今回の課題本は皆川博子の『死の泉』です。

今回は国内ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

 

死の泉

 

今回の課題図書は、第18回の読書会で取り上げられ、参加いただいた皆様からご好評をいただいた、皆川博子先生の作品を再度取り上げることとなりました。
と、前回の『開かせていただき光栄です』の続編となる『アルモニカ・ディアボリカ』かと思いきや、今回は趣向を変え、『死の泉』です。
吉川英治文学賞受賞の大作を是非この機会に。

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■日程:2016年 9月17日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 第3和室
(青葉区大町2丁目12番1号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:皆川博子『死の泉』(ハヤカワ文庫)

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※携帯メールは受信できない場合があるようです。主催者側から返信の無い場合は、お手数ですがPCメールで再度ご連絡ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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25th report

第25回 せんだい探偵小説お茶会主催

カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』

読書会レポート

執筆者:73番目の密室

杜の都を覆う満開の桜もその花弁を徐々に散らしはじめ、葉桜へと変貌を遂げつつある4月中旬の土曜日。もはや我が会ではお馴染となった戦災復興記念館の一室において、第25回せんだい探偵小説お茶会が催されました。

この度の課題書は黄金期の巨匠ディクスン・カーによる『白い僧院の殺人』(本書の執筆に際してはカーター・ディクスン名義を使用)。“雪の密室”を扱った古典的佳作です。この課題書と軌を一にするようにこの日は季節外れの猛吹雪に……見舞われることもなく(笑)、穏やかな気候の下絶好の読書会日和となりました。些か時期を失した感は免れませんが、ここはひとつ舞う花弁が雪の代役を果たしてくれたということでご勘弁を願いたく思います……我ながら苦しいのは承知しております、はい。

この度の読書会の参加人数は15名。宮城、山形、福島からお集まりいただいたのに加えてサプライズ、なんと別件で仙台を訪れていた札幌読書会の世話人Aさんが急きょ足をお運びくださり、1道3県にまたがる参加者を迎えての堂々たる盛会と相成りました! かねてより我が読書会ではクイーンの課題書は(主にある1人のメンバーの瞠目すべき熱意により)頻繁に扱う一方、昨年暮れまでカーは一度も取り上げられたことはなく、会中のカー派は内心密かに「ぐぬぬぬ」と切歯扼腕して……いたかはともかく(笑)、この不遇の時を経て昨年の12月には遂に初のカー作品『ユダの窓』読書会が開催され、更に時を置かずして今回に及びこの盛況ぶり。「やはりカーこそミステリの帝王! すわ下剋上の刻来れり、いざいざ!」と内心カー好きの私が増長してしまったのもむべなるかなと存じますが(何故時代小説調?)、これが愚かな早合点であることに気づくのにさして時間は要さなかったのであります……。

さて、まずはレジュメとメンバーの方々に持ち寄っていただいたお菓子が配られる処から始まるのは我が会の恒例ですが、今回持ち寄られたお菓子はAさんがご持参くださった札幌銘菓「白い恋人」はじめ、判で押したようにホワイトチョコ系ばかりという結果に(笑)。“雪”の密室を扱った作品で序盤に毒入りチョコレートが送られる事件まで発生するとなれば、やはり皆さん考え付く処は同じだったようです。他人ごとのように書いていますが、ホストが持参したお菓子もご多分に漏れずアンテナショップで購入した北海道産ホワイトチョコでありました。商品が誰ともバッティングしなかった時は心底ホッとしたものです。
そんな中、一際異彩を放ったお菓子はご自身大のカー・ファンでもあられる福島読書会世話人・諸葛亮証明さんがお持ちくださった二本松銘菓・御菓子処日夏の最中。日夏(H)の最中(M)ということで、H・M卿が活躍する本書にちなんだお菓子としてお持ちくださったとのこと。この諸葛亮さんの説明に、同じくカーに一家言を持たれる我が読書会重鎮Tさんは「うーん」と首を傾げておられました(笑)。ああ、さっそくカー派の結束が崩れていく……。

そんなこんなでお菓子とレジュメも行き渡り、各々の自己紹介へ。名前、好きな作家、最近読んで印象に残った本、等々。そして“カー作品についてどう思うか?”という質問にも答えていただきました。普段の読書会においては、課題書の作家の作品を「(読書会の為に)初めて読んだ」「課題書しか読んだことない」という参加者の方が何人かいる場合が殆どなのですが、今回に関しては参加メンバー全員が事前に何らかの形でカー作品に触れたことがあるとのことで、(賛否は分かれましたが)1人も余すことなくカーへの印象を述べていただけました。古典が読まれなくなったと叫ばれて久しい昨今にあって尚これだけの既読率。やはりミステリファンの間でカーは依然避けて通れない作家なんだなあ、とその存在感を改めて実感させられた気がしました。思えばここが今読書会におけるカー評価のピークだったかもしれません。

そうした自己紹介も終わり、いよいよ課題書の感想を1人ずつ述べていただく段となりました。
以下、発表された感想を羅列しますと、

「合わなかった」
「(キャラクターが)誰が誰だか区別がつかなかった」
「長すぎる、もう少し短くまとめてほしかった」
「読みづらくて読了までに時間がかかった」
「文章が(読みづらくて)頭に入ってこなかった」
「H・M卿登場までが退屈でツラい」
「論理的だがクイーンならもっと上手く書ける」(どなたのご発言かは記すまでもありませんね・笑)
「建物の構造やキャラクターの動きなどが分かりづらく、状況を理解するのが大変」
「リアリティがない」

等々……もう、惨憺たるものです(苦笑)。ホストとしては「かつてここまで不評が噴出する課題書があっただろうか……」と、思わず遠い目になりかけました。
とりわけ「読みにくい」「中盤が退屈」という2つの感想が多く、カーマニアの方々含めほぼ全員が述べていたのではと思います……確かにホストも読書会に備えて読み返した際、「あれ、こんなに中盤読みにくい作品だったっけ……?」と面喰ったものでしたが(笑)。この件に関しては「(解決までの)話に起伏がなく平板で、キャラにも面白味がないから」「カー得意のオカルト要素がないから」などの分析が寄せられました。また「カーだから読みにくいのは仕方ない!」という擁護(?)の声も。

唯そんな中にあってやはりメイントリックそのものへの評価は高く、「この時代としては斬新!」「トリックによって状況がひっくり返されたのは感心」といった好意的な感想が多く挙がりました。またカーは全作読んでおられるというAさんからは「カーは長編では全部で5つの足跡トリックをものしているが、その中で最も綺麗に決まっている」とのご意見もいただきました(一方で「(トリックが)行き当たりばったりだ!」という声や「このトリックが実行されたなら現場に○○が残ってないのはおかしい」といった矛盾点への言及もありました)。
更に探偵役であるH・M卿の破天荒なキャラクターは大変好評で、「H・M卿が登場してから一気に頁が進みだした!」と言う意見が大勢を占める結果に。これと併せて「もっとはやく登場してほしかった!」という声も(笑)。無味乾燥な物語の中にあって一服の清涼剤ともいえるユーモラスさが人気の理由なのか、ともかく卿のファンであるホストとしてもこの好評ぶりは望外の喜びとなりました。

上記のような幾何かのフォローはあったものの、殆どの方の本書の総合的な評価は「合わなかった」か「普通」というものでした。序盤から不評続きの流れは一向に変わらず、途中「普通だった」という感想が立て続けに起こった時は、それでホストが「盛り返してまいりました!」と実況してしまった程(笑)。カーを制覇ないしはほぼ制覇しておられるという重鎮の方々まで評価が芳しくなく「普通」止まりで、これは課題書を選定した私の責任問題に発展しやしないかと内心冷汗ものでしたが……。
そんな中、唯一肯定的な声を挙げてくださったのが感想発表のトリを飾られた諸葛亮さん。それまでの不評の流れを一掃せんばかりに「(初読時に)読み終わって「あっ!」って声を挙げた初めての作品」「作中の状況を成立させる為に要素を重ねるに重ねたカーの手腕はすごい!」「この解決は美しい(某ドラマの決め台詞風)」と絶賛の嵐。更には(日本人キャストで)実写化する際のキャストまで考えてくださり、マーシャ・テート=藤原紀香、H・M=西田敏行……これ以降はネタバレになるのでオフレコとのことです(笑)。氏が『白い僧院の殺人』のファンということは以前から窺っておりましたが、その言を裏打ちしてあまりある、本書へ注ぐ愛情の深さがひしひしと伝わってくる熱弁でした。ホストも1ファンとして拝聴して感激するとともに、「否定的意見だけで終わらなかったー!」と密かに胸を撫で下ろしました(笑)。

一通り感想を述べあった後は作品に関する四方山話。作中の事件が60年代に現実に起こったシャロン・テート事件を連想させるという意見や(もちろん現実の事件の方が後で小説のモデルということはありません)、「原文が古臭いので訳には工夫が必要では?」といった提言も発信され、尚活発な話し合いは続きました。

ここで話は前後しますが、実は感想発表の際各参加者の方に「本作以外でおすすめの“足跡のない密室”を扱った作品はありますか?」という質問をホストから投げかけていました。この回答の中で複数人が挙げたのは(以下著者の敬称略)チェスタトン「翼ある剣」、横溝正史『本陣殺人事件』、有栖川有栖「人喰いの滝」、そしてカー(カーター・ディクスン)の『貴婦人として死す』といった顔ぶれ。特に「翼ある剣」と『本陣殺人事件』の人気は高く、さすが東西両巨匠の面目躍如といったところでしょうか。他に登場した名前は島田荘司『斜め屋敷の犯罪』、高木彬光『白雪姫』、フレドリック・ブラウン「笑う肉屋」、麻耶雄嵩『夏と冬の奏鳴曲』等々。まだ読んだことのない作品も多数紹介していただき、密室中毒のホストはホクホクでした(笑)。皆さんありがとうございました!

そうこうするうちに時間となり、無事閉会。今回皆さんの感想を拝聴して思ったのは、「やはり見事なトリックだけでは読者の心は掴めないんだなあ」ということ。『白い僧院~』のトリックに関しても概ね好評だったかと思いますが、それでもその周囲を彩る物語が平板だった為に作品全体としては不評が大勢を占める結果に落ち着いたように見受けられます。私はどちらかというと(ミステリに関しては)“トリックさえ良ければ後はおまけ”と考えてしまう傾向のある人間なので、ミステリにも様々な見方があって奥行が深いものであることを改めて教えられ、眼を開かれた心持ちがしました(逆にトリックしか視てないからこれまで他の方々には好評な課題書でも1人だけ不平満々だったりしたのかな、と我が身を振り返って視野の狭さを反省してみたり・笑)。

ただ課題書は不評極まれりだったものの(苦笑)、それで会の雰囲気が悪かったかというと決してそんなことはなく、終始和やかなムードで楽しくお話ができたのではと思います。やはり「本を読んで大勢で意見を交わし合う」という行為そのものが(普段中々機会のないことでもあり)とても魅力的なものであって、だからこそ読書会という場にこれだけ多くの方が集ってくれるのでしょう……と、これは会後の懇親会で諸葛亮さんが仰られたことの受け売りですが(笑)。課題書の内容如何でその楽しさが減じることは些かもないのだということを今回改めて実感するとともに、読書会という“空間”の貴重さを再認識させていただきました。決して課題書選定の責任逃れをしているわけではありませんので、ご理解いただきたく。

素晴らしい時間を共につくりあげてくださった皆さんに感謝の意を伝えつつ、今回は筆をおかせていただきます。
余談ですが次回の我が会の課題書が『葉桜の季節に君を想うということ』なのですが、葉桜に言及した冒頭を書いたのはその情報を聞く前のことで、予期せぬ仄めかしになってしまったことに自分でもちょっと驚いています(笑)。もちろん冒頭を書いている時に彼の作品が頭を過っていたのは言うまでもありません。

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27th event

第27回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

エラリー・クイーン『チャイナ蜜柑の秘密』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、7月30日(土)に第27回読書会を開催します。今回の課題本はエラリー・クイーンの「チャイナ蜜柑の秘密」です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。


チャイナ蜜柑の秘密

昨年からこれまでの読書会、翻訳小説部門では、密室の巨匠カーが2作品続いた 中、皆様お待たせしました。今年もやって参りました。せんだい探 偵小説お茶 会恒例のエラリー・クイーン読書会!(拍手!)
さて、今回のクイーンの課題本は、こんな内容。

宝石と切手収集家で出版業者の人物のもとに、謎めいた男が訪ね、待合室で殺害 される。驚いたことに被害者の衣服はすべてうしろまえにされ、家 具もすべて 逆向きにされていた。犯行現場にある動かせるものは、すべて「あべこべ」にさ れていたのだ。なぜ、犯人はこのようなことをしたの か? そして、被害者は何 者なのか? 事件の調査に乗り出したエラリーの目の前に、つぎつぎと「あべこ べ」があらわれる。これらは事件とどうむすびつくのだろうか?

本作はクイーンのひとり、フレデリック・ダネイが自作ベスト5の中の一冊とし て挙げている作品でもあります。
如何です? おもしろそうでしょう。手に取ってみたくなったでしょう! さぁ、今回の課題本は誉れ高き国名シリーズの1冊、「チャイナ蜜柑の秘密」 (エラリー・クイーン著 越前敏弥・青木 創 訳 角川文庫)です。
あへこべの手がかり、あべこべの本格ミステリー。 評価は賛否両論あります が、本作品か発表された1934年まで、これほどまでに奇想に満ちた設定を成 し得たミステリ作品が存在し得たでしょうか! この奇想天外な謎を名探偵エラ リーは如何に解くのか! 翻訳作品でカーが2作品続いたから対抗意識を燃やし ているわけでもありません。ましてやカーお得意の・・・おっと、これ以上語っ ては野暮というもの。あと は、読んでのお楽しみ!
初めて本書を手にする方は、乞う、ご期待! 是非、本読書会に参加してミス テリの深淵に触れてみませんか。

奮っての御参加、心よりお待ちしております。

■日程:2016年7月30日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:青葉区市民センター 和室
(宮城県仙台市青葉 区一番町2-1-4)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:エラリー・クイーン『チャイナ蜜柑の秘密』

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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26th event

 

第26回 せんだい探偵小説お茶会主催

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、6月18日(土)に第26回読書会を開催します。今回の課題本は歌野晶午の『葉桜の季節に君を想うということ』です。

今回は国内ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

 

葉桜の季節に君を想うということ

 

今回の課題図書は、2004年版「このミステリーがすごい!」及び「本格ミステリ・べベスト10」の第1位、そして、日本推理作家協会賞及び本格ミステリ大賞受賞と2003年を代表するミステリー、歌野晶午『葉桜の季節に君を思うと言うこと』です。

それでは、今回のホストからの意気込みをどうぞ!

仙台探偵小説お茶会 海外編はクイーンにカーにバークリーにと 巨匠揃いですが国内編は ちょっと見劣りする感がありましたが今回はちょっと頑張って歌野晶午「葉桜の季節に君を思うと言うこと」を選んでみました

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■日程:2016年 6月18日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:生涯学習支援センター 和室
(宮城野区榴ヶ岡4丁目1番8号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※携帯メールは受信できない場合があるようです。主催者側から返信の無い場合は、お手数ですがPCメールで再度ご連絡ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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25th event

第25回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、4月16日(土)に第25回読書会を開催します。今回の課題本はカーター・ディクスンの「白い僧院の殺人」です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。


白い僧院の殺人

この度4月の読書会にて、カーター・ディクスン著『白い僧院の殺人』を課題図書に選ばせていただきました。

昨年暮れの『ユダの窓』から間をおかずの、海外パート2連続・2度目のカー(ディクスン)作品となります。おお、なんだかカー陣営が巻き返して いるっぽい!

図らずも2作続けてディクスン名義のH・M卿シリーズとなりまして些かバラン スに難がある気もしますが(バンコランやフェル博士ファンの人すみません…)、そこはホストの偏愛故ということでご容赦頂きたく。

以下あらすじ。

ロンドン近郊の<白い僧院>と呼ばれる邸の別館で、ハリウット女優の死体が発 見された。他殺なのは明らかだったが、死体発見時別館の周囲は雪に覆われていたにも関わらず第一発見者以外の足跡はなく、その第一発見者 にもアリバイが確認される。犯人は如何にして現場を立ち去ったのか?不可解な謎に、陸軍省情報部部長ヘンリ・メリヴェール(H・M)卿が挑む。

“足跡のない殺人”!“雪の密室”!密室ファンなら誰もが聞いただけで心躍る これらのテーマを見事にものにした、古典的傑作です。後世に与えた影響は多大で、現代の日本に於いても法月綸太郎『雪密室』など、本歌取 りに挑んだ作品が数多く散見されるほど。江戸川乱歩が「カーが発明した不可能トリックのなかでも、最も優れたもの」と激賞した“密室の帝 王”の妙技を、是非ご堪能ください。

またカーと言えば密室トリックの分類を行った『密室講義』(『三つの棺』収 録)が有名ですが、本書にはそれと対を為すと言っても過言ではない、「犯人が密室を生成する理由」を(おそらく)初めて分類した『密室動 機講義』(私が勝手に命名)の一節が存在します。こちらもやはり必見です。

作中とは違って陽射しも和らぎすっかり雪溶けの季節を迎えた今日この頃ではあ りますが、それによって本作の魅力が些かなりとも溶解することはありません。人の世に文字が存在する限り、ヒマラヤ万年雪の如き気高く美 しいその真価は、いつまでも硬質の輝きを湛え続けることでしょう。

皆様の奮ってのご参加、お待ちしております。

■日程:2016年4月16日 16時30分~18時30分(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 4階第5会議室
(宮城県仙台市青葉 区大町2丁目12-1)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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24th report

第24回 せんだい探偵小説お茶会主催

白井智之『東京結合人間』

読書会レポート

執筆者:仙台のクイーンファン

2月20日に第24回目となるせんだい探偵小説お茶会を開催しました。
第1回読書会(当会では、第0回と呼称していますが。)が2013年1月13日に開催されましたが、それから3年目を迎えることが出来ました。

昨年、2周年目の作品として取り上げたのが当読書会の発起人であり、初代世話人である白井智之さんのデビュー作「人間の顔は食べづらい」。そして記念すべき3周年目の嚆矢も同じく白井智之さんの第2作「東京結合人間」となりました。
デビュー作は横溝正史ミステリー大賞史上最大の問題作と謂われ、本格ミステリ・ベスト10で21位の評価を受けましたが、本作品はデビュー作を凌駕する評価で、本格ミステリ・ベスト10で8位、このミステリーがすごい!で16位となりました。
東京に在住しランキング入りした作家さんが、仙台の読書会へ来ていただけるのだろうかと心細さを感じてはいましたが,白井さんに快諾していただき読書会の参加者は歓喜の声を上げることとなりました。

ただし,今回の作品はデビュー作以上に性と暴力のハードな描写が含まれています。読書会に参加される方は,どのような方達なのかと期待と不安がありました。

白井さんとお会いした際,読書会の参加者人数を知らせると「ほんのちょっとじゃなくて良かった」と話される姿は,「本当にこの好青年が教育委員会が毛嫌いしそうな作品を書いたのだろうか?」と作品とのギャップにミステリ作家の深淵さを感じさせられました。

読書会参加者3名は,白井さんと昼食もご一緒させていただきました。ミステリー文学館での企画展や視聴者参加型推理番組の話題で盛り上がり,4人で同じ親子丼を食しました。和やかに食している間、鶏のボンジリらしきものを口にしたとき、東京結合人間の冒頭を想像したのは私だけでしょうか?食事中にはもちろん口にすることができず,その後も口にできませんでした。その理由は………読書会参加者メンバーの構成にありました。

今回は東京(作者),福島、宮城から合計11名が参加。内、初参加が1名でした。急遽インフルエンザと仕事で参加できない方が2名出たので,全員参加であれば13名でした。仕事で参加できなかった方は懇親会の2次会から参加されました。

さて,親子丼のボンジリの件ですが,なぜ口に出さなかったかといえば,女性が7名という,女性がこれだけ多い会は初めてというバランスだったからであります。いくら鈍感力の優れたホストでも,躊躇したというわけです。が,読書会が開催されるとホストの想像を超える発言が次々と出てきたのでした。その件は各々の感想で…。

今回の会場は和室。メンバーが開場入りし障子を開けると、5m程先に隣家の壁が見えました。ここで密室殺人事件が起きた場合、人間ではその壁に跳び移るのは不可能。その状況を見てメンバーの思い浮かべたことは、『犯人は○○○○○○』だった、でしょう。

座卓を並べ、白井さんを上座にして読書会がスタート。
今回ホストが『東京結合人間』にちなんだお菓子として用意したものは「スティックケーキ」。結合から何か合わさったものが良いかと考えましたが,「スティックパン」が本作の中に出てきたので,わかりやすくインパクトが有り、食すれば結合人間の孤島での日々に思いを馳せるのではないかと考えたのでありました。

続いて自己紹介ということで、名前と共に今年最初に読んだ本を各々が発表。白井さんからは今年最初に読んだ本として飴村行「粘膜黙示録」、昨年の国内ミステリのベストとして門前典之「首無し男と踊る生首」と麻耶雄嵩「あぶない叔父さん」を挙げていただきました。

続いて、皆さんの感想です。
「オネストマンを作り上げたのはが凄い。謎解きも理解しやすかった。」
「刺激が強すぎるので、淡々と読むように心掛けた。二度読むことはないです。」
「とにかく、凄い作品!大絶賛」
「いきなり肛門が出てきたのでどうなる?と思いつつ文章の巧さに読まされた。孤島ものなので全滅するかと思ったがそうではなくて驚いた。」
(彼女も白井さんと昼食を共にしていました。親子丼を食べていたとき同じことを考えていたはず…。まさかストレートに言葉にするとは思いませんでした。閑話休題。)
「結合したら不倫はできない。純粋な世界、理想の世界なのではないか。」
「オネストマンの証明は頭の体操をしているみたいで楽しめた。」
「図書館で仕事をしていて、本作を借りた人が怒って返してきた」
「虫が嫌い!名前を出すのもイヤ(アカゴダニ)。ジョイントマンが最後は出てくると思っていたので出なかったのは残念だった。」
「読んでいる間、翻弄されっぱなしでした。」
「前半と後半に分けてエピローグへと持っていく構成が素晴らしい。真相の推理だけではなく、他の推理も十分に意外な推理で素晴らしい。」

必ずといっていいほど否定的な感想が出る本読書会では、今回の「東京結合人間」も「人間の顔は食べづらい」と同様に参加者全員が絶賛。作者の白井さんが同席した効果ではなく、今回も作品の力であります!!

作者への質問がいくつか挙がったので、それも併せて紹介します。
白井さんは「お手柔らかに。優しい気持ちでお願いします。」と真摯に質問に答えていただきました。

参加者「結合したら住居の間取りはどうなるのか?仕事は男女のどちら側になるのか?」
作者「……そのあたりのことも考えてはいましたが、書きだしたらすごい分量になりそうなので、スパッとやめました」

参加者「メイントリックが最初にあったアイデアだったのでしょうか?」
作者「オネストマンの証明が最初にあって、そこから結合人間とメイントリックが生まれました。」

参加者「エピローグの動機は復讐ととらえたのですが、どうなのでしょうか?」
作者「…復讐ではありますが、理屈では説明できない、無邪気な悪意のようなものだと思います」

(あれ、レコーダーで録音していたのでは?と思われた参加者の方は、もう真相を見抜いていますよね。ゲストの白井さんには本当に申し訳ありません。そして、読書会に参加された皆様本当に申し訳ありません。ホストからの謝罪でした。)

その後、好きなキャラクターと台詞では、
「ハチャメチャだけど三人組が好き。」
「栞の『~の気持ちです。』という言葉遣いが好き。」
「みんな一癖も二癖もあるのに、好感が持てる。好きなもので繋がっているって、救われます。」
「正直な言葉で発している台詞に好感。」
「こわいものからは、逃げろ!は真理を語っていて好きです。」
「常識的な人は小奈川だけですから。やっぱり好感が持てます。」
「イニシアチブをとってくれる今井がかっこよかった」
と、ホストが思っていたよりも、極悪非道な人物たちにも好印象の結果となりました。

最後に白井さんから本作についての思いや執筆秘話、ランキングした際の裏話などを聞きましたが、オフレコということで、今回も前作同様、参加された方だけの秘密です。
最後にサイン会と称して、参加者全員が課題本や色紙にサインをいただいて終了となりました。

読書会終了後は、50mほど場所を移動して懇親会へ。
懇親会には10人が参加し、あまり広くない店で、和気あいあいとお酒を飲みつつ、更に突っ込んだ質問やミステリだけではなく、映画や漫画、各自が今読んでいる本などで会話に花が咲きました。
白井さんの「横溝ベスト3」「カーベスト3」を訊き、答えていただくと参加者が狂喜乱舞!メモをとり始める場面もありました。
本読書会、世話人の蒔野さんも2次会から合流して、参加人数最多の9名でスタート。そして夜は更けていったのでした。
2次会会場のラストオーダーが言い渡されたのは深夜1:00過ぎ。18:00から懇親会が始まり、時間を忘れて話し込んでいました。お酒を召して深夜まで付き合わされても、白井さんは好青年のまま静かに微笑んでおりました。

白井さんの次回作に期待して、本日の読書会は閉会となりました。
白井さんは現在、シリーズ第三の長編を執筆中とのことです。

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さて、月替わりで、国内ミステリーと翻訳ミステリーを交互に課題本に掲げている当読書会。
次回は、カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』を4月16日に予定しています。

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24th event

 

第24回 せんだい探偵小説お茶会主催

白井智之『東京結合人間』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、2月20日(土)に第24回読書会を開催します。今回の課題本は白井智之の『東京結合人間』です。

今回は国内ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

 

東京結合人間

 

2016年最初のお茶会、今回の課題本は、お待たせしました。仙台たんてい小説お茶会の創設者であり、ミステリ作家、白井智之氏の『東京結合人間』です。
このHPを覗いていらっしゃる方にはおなじみの「本格ミステリベスト10」では8位!「このミステリーがすごい!」では16位!と昨年のミステリ会に大きな存在感を示した作品であります。
また、物語は冒頭からハードな描写でがはじまりますが、どんな物語でも最後まで読まなければわかりません。終わらなければよかったという作品もありますが、本作品はそんなことはありません。読了しなければ、そのカタルシスは得られないのです。
ミステリは物語の中でも最後まで読まなければ、得られるものが少ないといっても過言ではありません。まさに本作品は読了しなければその真価は問われないのです。
個性の際だったキャラクターと結合人間の設定は、本格ミステリ界のクェンタィン・タランンティーノ。解決はクイーンばりのロジカルさ。2015最大の問題作を是非、ご一読してみては。
そして、白井智之氏がゲストとしてお茶会に来仙されます。
若き本格ミステリ会の才能に実際にお会いしたい方、作
品に対して訊いてみたいことのある方。どなたでも気軽に参加することができます。(定員15名とさせていただきます。)
是非、参加をしてみては如何でしょうか。

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■日程:2016年 2月20日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:青葉区市民センター 和室
(青葉区一番町2丁目1番4号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:白井智之『東京結合人間』(角川書店)

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※携帯メールは受信できない場合があるようです。主催者側から返信の無い場合は、お手数ですがPCメールで再度ご連絡ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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23rd event

第23回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

カーター・ディクスン『ユダの窓』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、12月19日(土)に第23回読書会を開催します。今回の課題本はカーター・ディクスンの「ユダの窓」です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

ユダの窓
当読書会の課題書(翻訳の部)を振り返ってみると、クリスティー、 バークリー、レオ・ブルース、シリル・ヘアー、ヴァン・ダイン、フィルポッツ、ガストン・ルルー、……とハッキリ古典路線を歩ん できましたが(例外はジル・チャーチルとドン・ウィンズロウ)、中でもエラリー・クイーンは三回にわたり六冊を取り上げるという 偏重ぶり。ここはクイーン・ファンクラブ仙台支部か? いやいや、私のようなクイーン嫌いも交じっているのだからそんな筈はな い。それにしてもクイーンの突出ぶりは目に余るものがある。それも、常にクイーンと並び称されるディクスン・カー(カーター・ ディクスン)は一顧だにされていないという状況においてをや。

かくしてカーを取り上げる機会を虎視眈々と窺っていた私ですが、つ いにその時が来ました。カーの代表作の一つにして、オールタイムベスト級の傑作との呼び声も高い『ユダの窓』の新訳版が刊行され たのですから、これを逃す手はありません。

こんなお話――

ジェームズ・アンズウェルは、結婚の許しを乞うため恋人の父親エイ ヴォリー・ヒュームを訪ねた。勧められるままに飲み物を口にした彼は、意識を失ってしまう。やがて目を覚ました彼が見たものは、 胸に矢を受けて事切れているヒュームの姿だった。完全な密室と化した部屋の中にいるのは、死体と自分だけ……。

殺人容疑で裁かれる彼を弁護することになったヘンリ・メリヴェール 卿曰く、「ドアは確かに、きっちり閉まって亀裂もなく、差し錠が掛かっておった。……外から開け閉めできるように細工した者はお らん。……壁のどこにも、隙間や亀裂、ねずみ穴さえなかった。……犯人はユダの窓から出入りしたんじゃ」

どんな部屋にも存在しながら誰にも気づかれることのない不思議な出 入口――「ユダの窓」とは何か?

さあさ、お立ち会い、初めての人も寄っといで、これがカーだよ、 カーの密室物だよ、密室物の代表作だよ、さらにはスリリングな法廷物であり、極上のフーダニットでもあるんだよ、面白いよ、ソン はさせないよ、とにもかくにも乞御一読。

■日程:2015年12月19日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 4階第1会議室
(宮城県仙台市青葉 区大町2丁目12-1)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:カーター・ディクスン『ユダの窓』

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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21st Report

第21回 せんだい探偵小説お茶会主催

エラリー・クイーン『エジプト十字架の秘密』

読書会レポート

執筆者:仙台のクイーンファン

【第一幕】
せんだい探偵小説お茶会が3年目に入り、ホスト制で進められるようになってから、エラリー・クイーン作品の読書会が年1回の恒例行事となるのではないか、とホストが北叟笑みながら企画した『エジプト十字架の秘密』(角川文庫、訳 越前敏弥・佐藤桂)。
クイーンと仙台は相性が良いのか、前回の〈レーン四部作読書会〉に来仙していただいた翻訳者の越前敏弥先生、そして、せんだい探偵小説お茶会を主催し『人間の顔は食べづらい』で作家デビューされた白井智之先生、と豪華なゲストを2人も迎えて開催されました。

越前先生から来仙の際に観光をとのご要望から、白井先生もご一緒されることになり、「るーぷる仙台(仙台市の観光用レトロスタイルバス)で巡る青葉城址」も開催されました。
仙台在住の参加者の多くが「初めて、るーぷる仙台に乗ります」と呟きながらはじまったときには、あいにくの雨でしたが、青葉城址に着くと雨は止み、ミステリアスな曇天の下を和気藹々と巡りました。大広間跡を歩いた際には、「首実検の間」を見つけ、本日の読書会と関連するのではと、参加者からミステリ愛に満ちた言葉が発せられていました(通りがかった方には不謹慎と思われた方もいるかもしれません……。ホストは、作品との巡り合わせに暗号が隠されている錯覚に陥り、1人興奮していました)。
伊達武将隊の方をチラリチラリと見ながら正宗像の前で集合記念写真を撮影。仙台在住の方々は口々に「こんなところあったかしら?」と初めて来たようなことを語り、読書会の企画に観光を取り入れてくださった越前先生に感謝していました。
青葉城址本丸にある宮城縣護國神社に足を踏み入れると多くの絵馬が視界に飛び込んできました。「嵐のコンサートに行けますように」と書かれた絵馬が多くを占めており、嵐人気の高さに驚きました。

また、るーぷる仙台に乗車し、昼食を得るために仙台駅へ。世話人の御用達のお店で、それぞれがランチに舌鼓を打ち談笑。午後三時を回った後、駅前ビル「AER」展望台で仙台を一望。そして、読書会会場へとそれぞれが向かう形となりました。
ホストは読書会下準備のため、食後皆から離れ、読書会開催20分前に会場入ると、参加者の多くが、水を打ったような静けさの中、資料を黙読。その中に空調のためか、人の寝息のような音が。ホストはアンケートの協力を求めて参加者に用紙を配り着席。会の進め方をあれこれと黙考していると、常連会員にして重鎮のT氏が入室。席について目礼を交わし、視線を外すと「びっくりした!」とのT氏の驚愕。なんと越前先生が座卓の脇で眠っていらっしゃるではありませんか。寝息のような音の正体は、越前先生のまさに寝息だったのです。参加者の方々が水を打ったように静かだった理由がここではっきりしました。お疲れのところ、身体に鞭打って参加してくださった越前先生のクイーン愛に、ホストは感動で目頭が熱くなりました(寝息の正体に気付かなかったくせに、とは言わないでください)。

【第二幕】
※『エジプト十字架の秘密』のネタバレあり。未読の方は絶対ここから下、第二幕の終わりまでは読まないでください。後悔します。

『エジプト十字架の秘密』(以後、『エジプト』で表記)読書会は全14名でスタートしました。
『フランス白粉の秘密』〈レーン四部作〉の読書会では作品にちなんだ「菓子」を提供してきたので、今回も『エジプト』にちなんだものをと考えました。そこで参加された方々に「今回、供される食べ物は?」と出題しましたが、惜しくも正解者はなし。今回の供物は(クイーン読書会で出される食べ物のことを今後は「供物」と称させていただきます)、「キャビア」でした。しかし、今の時期、本物のキャビアは高級百貨店で8,640円と高額で、ホストの財布を逆さにしても購入できる代物ではありませんでした。そこで、キャビアの代用物「ランプフィッシュキャビア」(ちなみに1/15の金額です)を提供。「本物と比べてみて、どうですかね?」などとホストが問うと、13名の参加者の口からは「比較できるほど食べて味を覚えているわけではないから、なんとも言えない」とか「偽物と言わずに出せばわからなかったかも」などの回答が返ってきました。その時は、成程と思っていましたが、今この報告書をまとめていると、代用キャビアであることを言わずに、読書会終盤で今回の『エジプト』のトリックに絡めて「本物と偽物を入れ替えた」と語れたらどんなに盛り上がっただろう、と後悔してなりません。そうすれば、また違った印象で読書会を終えることができたように思えます。

閑話休題。
さて、自己紹介を終えて読書会は本書の内容へと。初読の方は5名、その内で犯人がわかった方は0、その中でヨードチンキの瓶の手掛かりの違和感に気づいたが推理に至らずという方が1名(ここで皆のどよめきが……)であることがわかりました。6割の方も初読の際は犯人がわからなかったようです。再読率の高さから『エジプト』が名作との呼び名が高いことを改めて知る思いがしました。

「感心(感想)、疑問、手掛かりについて」をキーワードに参加者の方々からそれぞれお話をうかがうと、「首なしはインパクトあり」「残忍なのに怖さをあまり感じない」「たたんでいくようなプロット」「エラリーが粋がって、タウ十字架といったのに、ぺしゃんこになるのがかわいい」「初読でしたが、さくさく読めて楽しめた。せっかくだから犯人を当てたいと思い、また最初から読んだ」「ヨードチンキからの推理は脳天に雷を受けたような衝撃」「ヨードチンキの瓶の説明を読んだときには、なるほど、これかと思った」などの好印象や感心を得た感想が多く発せられました。
白井先生からは「あかね書房のジュブナイルを小6で読んで、世の中にこんな面白いものがあるのかと思った。大学時代に何度か読んで感銘を受けた。テンポよく途中途中に推理が入っていることも良い。入れ替わりはベタであると思うが、ヨードチンキの瓶に入る前に最初の事件で入れ替わりを明かしている、メイントリックが提示されている潔さに、素晴らしさを感じました。好きな作品です」とクイーンファンを喜ばせる賛辞をいただきました。

読書会の花といってよい「疑問点」については、「『フランス白粉』では調べていた指紋と血液型を調べないのは、どうしてか?」「斧の指紋は調べているのに、指紋について触れられていない部分が多いのは何故か?」「すり替えがよくバレないな」というご意見が多く出されました。ホストである私も、そこには物語を成立させるための作者の恣意を感じずにはいられません。

そして、ここで皆が絶賛していた手掛かり「ヨードチンキの瓶」、そこからはじまる推理に対して疑問を感じると、T氏からお話がありました。
「初読時には大変感心したが、再読してヨードチンキの瓶からなる推理は粗雑に思えた。それは、ラベルがないから使ったのはその家の者だという考えだけで、他の可能性を考えていない」

ここで会場に激震が走り、ホストの脳内にはドーパミンが勢いよく回りはじめました。
「ヨードチンキの瓶がラベルありと無しのものが見つかる。山小屋暮らしなのに、どうしてそんなにヨードチンキばかり集めたのか。仮住まいの山小屋に薬品棚があること。それらの不自然さから、なにかのためにこしらえられた手掛かりじゃないか。例えば、家の他の者が偽の手掛かりを提示して誤った推理をエラリィに導かせる可能性も考えられる(ホスト注:クイーンの偽の手掛かりは他の作品でも見られます)。人1人を殺人罪で起訴する論証としては不十分じゃないか」というものでした。

T氏の意見に「詰め替え用の大瓶と小瓶ではなかったか」と越前先生が答えました。「山小屋の最初の場面では薬品棚のことは書かれているが、そこにヨードチンキの瓶にたいする何らかの説明がうまく入ればよかったのかもしれない」とホストは思いつつも言わず、疑問はそのまま残る形に。
T氏は、アントニイ・バークリーの名著『毒入りチョコレート事件』からチタウィック氏の「その種の本の中では、与えられたある事実からは単一の推論しか許されないらしく、しかも必ずそれが正しい推論であることになっている場合がしばしばです。作者のひいきの探偵以外は、誰も推論を引き出すことができなくて、しかもその探偵の引き出す推論は(それも残念ながら、探偵が推論を引き出せるようになっているごく少数の作品でのことですが)いつも正解に決まっています」(創元推理文庫版p.272)を用いて推理の厳密性を欠くことを話されました。

T氏が「他にもお話ししたいことはありますが、時間もないから」と終えようとすると、越前先生をはじめ他の会員の方から「もう1つだけでも」と要望が入りました。T氏は要望に応えて「パイプが被害者のものではなく、兄のものであることを周りの者が誰も知らないという前提で犯人が利用したことに疑問を感じる。被害者の書いた覚え書きは、兄が航海からもどったら発見してほしいからしたことだが、確実性がない。それだったら兄が帰ってきたら、犯人がその覚え書きを誰かに送りつけた方がよほど確実性がある。つまり何故このような推理が入るかというと、作者がエラリーの推理の見せ場を作るために行ったということではないか」とお話しされました。ホストも、犯人はパイプがケースから兄のものであることを知り、それを利用したが、利用するための前提条件である「周りの者が兄のパイプであることを知らない」ということを、どうやって知ったのかは疑問に思っていました。そして越前先生もパイプについては同じ意見を持っていました。

越前先生からは「鮮やかで、複雑なトリックを作るために多少の強引なことをしている。それはクイーン作品全体に言えることではないか。真相がわかって再読すると作者の立場にたって推理する感じになり、決まって粗が多く見える。それでも初読で騙されれば良いと思う。『エジプト』は派手で物語がダイナミックなので最初に読むクイーン作品としては最適」と話されました。また「ヨードチンキの瓶は初読の時に実は気づいた。どうして気づいたかというと、エジプトを読む前に、ヨードチンキの瓶という言葉があまりに有名で、これはなにかあると思って、ヨードチンキの瓶に注目して読んだからわかった。つまり、手掛かりが有名になることで、その言葉が一人歩きし、ネタバレになってしまうこともあると思われる。今後、そういったことをどう回避することができるかも考えていかなくてはならないと思った」と語り、「1932年の作品群の中でも最後の『エジプト』では苦し紛れの部分が多く見られた。入れ換えを隠すためにペダントリーを交えておどろおどろしさを演出しているが、再読ではミスリードするためであることが、あまりうまく噛み合っていない様子が見られる」とお話を締めくくりました。

ホストは資料に提示した絶賛の意を示していましたが、読書会前日、5回目を読了した際、パイプはもちろんでしたが、「ラベルのない瓶を使用する可能性は、他にもある」「死体の見立てに対する労力と手順、最後の被害者の監禁、もしくは拘束時になにも起こらなかったこと」「指紋や血液の捜査、その他諸々が読者をミスリードさせるために恣意的に隠され、ミスリードさせるためのレッドヘリング情報が全面に出ている」などの疑問が沸々と湧いてきました。読書会前半で「ヤードリー教授が犯人と思った」という意見が何人かから出てきましたが、推理の粗が見えてくると、あながち彼が真犯人ではないと証明することが難しくなってくるようにさえ思われました。

【第三幕】
好きなキャラクターの1位は「ヤードリー教授」、2位が「エラリー」、少数意見で「ルーデン巡査」「アイシャムとヴォーン」となりました。「エラリーは好きになれない」という意見が出ると、越前先生は「今回の新訳では、特に生意気に嫌われるように訳した」とお話しされました。また、好きなキャラクターについては「どの作品でも同じことを言っているが、これだけのことをできる犯人の凄さにいつも感心してしまうので、好きなキャラクターは犯人」と答えられました。
「ヤードリー教授は物語の中で醜男とかバカにされているシーンが多々あることが疑問」と何人かの方からお話がありました。たしかに、読書会では人気が高いのに不思議です。もしかすると物語が作られた時代、流行していた揶揄か冗談だったのかもしれません。

さて、続いて好きな場面については、1位が「追跡シーン」で白井先生からは「今までこのシーンが印象に残っていなかったのが、今回読んでいて、単純に犯人を追いかけるのではなく、ヤードリー、エラリーが連なって、書き置きを手掛かりに追跡して行く様子に面白さを感じた」とお話をいただきました。他には「ヤードリーがエラリーにコートを着せている。イチャイチャしているように見える」「2人のやり取りが好き」などもありました。少数意見では「ルーデンがエラリーからお金をもらって去っていくシーン」「エラリーの最後の台詞」「アイシャムとヴォーン他、釣りにいってしまって警察がいないなど、警察の情けない場面」「ヤードリーとエラリーのディスカッション」「デニムの男が、おいかけっこしているのか、と話す場面」「ヤードリーとエラリーのプールでの会話」等があげられました。

時間の余ったところで、皆の要望から、T氏の話の続きを聞くことができました。
「プロットの甘さから細かい瑕疵がいくつも見られる。例えば、クロサックの居場所を何らかの方法で知るとか。ヤードリー教授が足を引きずる男を見かけた情報をどうやって得たのか。トバル三兄弟は殺人犯なのに、その国の警察から追われていないのは何故か。死体を磔ることは客観的に犯行可能なのか(最初の3つの見立てどの場面でも)。その磔る際に目撃者が現れないのはなぜか。クリングはどうやって生きていたのか。無駄なレッドへリングを削れば、もっと本の厚さを薄くできたのではないか。
こういうミステリの読み方としては邪道な読み方だと思っているけれど……。昔は基本的に騙されたいと思って読んでいたが、年を経てきたら、騙されまいぞ、と思うようになり、小さなことが気になってしまった」
そのお話を聞いて越前先生から「普通できないと思えるようなことをできちゃう超人だから犯人が好きなんだ。『エジプト』はトリックが大きく、死体も多く出るからこそ、粗が多く見られたのだではないか」と締め括りの言葉が述べられました。

最後に、福島読書会のS氏が作った白井先生の新刊告知と『エジプト』読書会のお知らせを併せたリーフレットをもとに、白井先生がお話をされました。
「自作でも傍点はをつけまくりました」と白井先生がおっしゃられると越前先生から「それはクイーンが原体験にあるからですか」と質問があり、白井先生は「そうです」と頷いていらっしゃいました。
2時間に達したところで読書会は終了となりました。ホストとしては大変濃密で充実した時間を過ごすことができました。それは参加された皆さんが単に「名作」と語ってくれたからではなく、今回再読して、自分が薄々感じていた違和感を無意識のうちに認めないようにしていたことがはっきりと浮き彫りにできたからです。おかげで肯定と否定の狭間にフィルターをかけてぼんやりとしてした状況から昇華して抜け出ることができました。そして「こんなにも瑕疵がある作品なのに、私はこの作品を愛して止まない」と、はっきり思うこともできました。また、何故この作品を愛しているのかと問われれば、「語られる論理が、現実で通用しそうだから。(通用しないとわかっても)魅力を感じる」というところのような気がします。
ミステリについては上記の言葉だけでは言い表すことができないと思っています。それを知りたいからこそ、これからも読書会に参加しながらじっくりと考えていきたいと思います。
懇親会には越前敏弥先生と白井智之先生にも参加していただき、美味しくビールを飲むことができました。そして、その場でもミステリの話題ばかりで、とにかく最高でした。

越前敏弥先生と白井智之先生をはじめ、読書会に参加してくださった皆さん。本当にありがとうございました。

【終幕】ボーナストラック
今回、読書会でアンケートにご協力していただき、結果は以下のようになりました。

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
飯城勇三氏 10 10 10
参加者1
参加者2 10 10
参加者3
参加者4
参加者5
参加者6 10
参加者7
参加者8
参加者9 10
参加者10 10 10 10 10
ホスト 10 10 10 10 10 10
平均点 8.5 7.5 8.7 7.7 8.8 7.0

全項目の平均が7点以上を示していること、全項目を合わせた平均は8点を超えていることから、読書会に参加された方々は瑕疵が多く見られても、読み応えありの作品と受け取ってくれたと思われます(ホストの点数が高すぎる、と突っ込みが入りそうですが、そこはご了承ください)。
読書会後の回収でしたが、論理性や解決の点数が辛くならなかったのは、クイーンの底力でしょうか。

今回のアンケートにはエラリー・クイーン・ファンクラブ(EQFC)の飯城勇三氏にもお忙しい中にもかかわらず回答をいただきました。表の上段がその回答です。重複しますが下にメールでいただいた内容を表示します。

01.『エジプト十字架の秘密』を読んだ感想
角川文庫版の解説のために読み直したが、犯人の行動の必然性が、本物と偽物の両方用意してあるのが凄い。
02.『エジプト十字架の秘密』を以下の点から評価してください(各項目10点満点。10点の基準はこれまで読んで来たミステリ作品で、10点と思えるものと比較して点数をつけてください)。
プロット=10、サスペンス=9、解決=10、文章=8、パズル性(論理性)=10、感動・余韻=9
03.あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞
キャラ:エラリー
場面:解決篇全部
台詞:解決篇のエラリーのセリフ全部
04.作中に登場する手掛かり(ヨードチンキの瓶・パイプ)についてどう思いますか。
興味あり。
いずれEQFC会誌に評論を書きます。

最後の言葉には、胸が熱くなります。評論を目にするのが楽しみでなりません。
今回の読書会でも、ホスト自身はミステリの深淵を垣間見て、それに触れることができたと思います。
そして、自身がミステリを知っていくためにも、クイーン作品を介した読書会を、まだまだ続けなくてはならないと考えています。そう決心したところで、今回は閉幕(カーテンフォール)とさせていただきます。

 

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さて、月替わりで、国内ミステリーと翻訳ミステリーを交互に課題本に掲げている当読書会。
次回は、伊坂幸太郎『マリアビートル』を11月21日に予定しています。

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22nd evend

※11月14日から11月21日に開催日を変更いたしました。
 また、開催場所も変更しておりますので、お間違いなきようお願いいたします。

 

第22回 せんだい探偵小説お茶会主催

伊坂幸太郎『マリアビートル』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、11月21日(土)に第22回読書会を開催します。今回の課題本は伊坂幸太郎の『マリアビートル』です。

今回は国内ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

 

マリアビートル

 

昨年の『鴨とアヒルのコインロッカー』に引き続き、国内物では初の同一作家の2作品目です。
2015年11月7日に映画化が公開予定の『グラスホッパー』の続編となる本作品。

それでは、ホストからの紹介です。

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「 去年の探偵小説お茶会のテーマは『色』でした。
そして今年は『密室』だと聞いていました、私は。
そして、「マリアビートル」は東北新幹線の話だと人づてに聞きました

「新幹線密室とは面白いじゃないか。」

と言うことで、ホストを振られたら「マリアビートル」にしよう と決めていましたが
他のメンバーから「え、『密室』が今年のテーマなんて知らなかった」と言われ
それでも読み始めたマリアビートルは
東京から✖️✖️行きだと思っていたのにアッサリ通りすぎ
そしてオチでは「アレ、コレって。。。(ry」と騙された(勘違い)感いっぱいでした

東京から2時間30分(2010年9月当時)の新幹線の車中
消えるトランク 増える”業者” 増える死体
めくるめく展開の伊坂ワールドをどうぞご堪能下さい

※「グラスホッパー」「魔王」も合わせてお読みいただくと
より一層 お楽しみいただけるかと思います。 」

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■日程:2015年11月21日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 第2和室
(青葉区大町2丁目12番1号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:伊坂幸太郎『マリアビートル』(角川書店)

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※携帯メールは受信できない場合があるようです。主催者側から返信の無い場合は、お手数ですがPCメールで再度ご連絡ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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21st event

第21回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

エラリー・クイーン『エジプト十字架の秘密』(角川文庫)読書会

せんだい探偵小説お茶会では、9月26日(土)に第21回読書会を開催します。今回の課題本はエラリー・クイーンの「エジプト十字架の秘密」です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

 

エジプト十字架の秘密 (角川文庫)

 

1985年に上梓された東西ミステリーベスト100では、31位にランクイン。2012年11月にリニューアルされた同誌では、順位は下げるも42位にランクイン。そしてクイーンファンクラブ2014年に行われた国名シリーズベスト10では『ギリシア棺の秘密』を押さえて1位に。

創元推理文庫の見開き紹介文「Tの字形のエジプト十字架に、次々とはりつけにされて死んでいた小学校長、百万長者、快速船をあやつるスポーツマン、そして素性がわからない男の、四つの首なし死体。その秘密を知るものは四人しかいない。エラリー・クイーンはついにさじを投げた。しかし、最後にいたって見つけた、たった一つのヨードチンキのびんから、もつれにもつれた事件の謎は快刀乱麻一挙に解決された。あらゆる近代の快速交通機関を利用しての四州にまたがり、550マイルにのぼるスリル満点の犯人の追跡。そして読者の前に突如として突き出された犯人は、はたしてなんぴとであったか? クイーンが会心の微笑をもらして読者に挑戦する快作の一つ。」(東京創元社文庫・井上勇訳、1982年10月8日刊行の53版より引用)は、今でもホストの作品紹介文ランキングで上位に入り、クイーンの国名シリーズの中では一位を占める作品であります。どうです、読みたくなるじゃありませんか。読まずにはいられなくなるではありませんか。

今回の読書会の課題本は、そうです。エラリー・クイーンの国名シリーズ第5作、『エジプト十字架の秘密』(角川文庫 訳 越前敏弥・佐藤桂)です。

今回の読書会では、『エジプト十字架の秘密』の魅力をより深く味わいたいと考えているので、読書会での参加者の発表項目を事前にお知らせします。

01.『エジプト十字架の秘密』を読んだ感想
02.『エジプト十字架の秘密』を以下の点から評価してください(各項目10点満点。10点の基準はこれまで読んで来たミステリ作品で、10点と思えるものと比較して点数をつけてください)。
プロット=( )、サスペンス=( )、解決=( )、文章=( )、パズル性(論理性)=( )、感動・余韻=( )
03. あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞
場面=(      )ページの(      )。理由(    )。
台詞=(      )ページの(      )。理由(    )。
04. 作中に登場する手掛かりについてどう思いますか。
・興味なし ・興味あり ・わからない(理由・意見・感想等)。
※エラリー・クイーン・ファンクラブ(EQFC)の過去のアンケートを参考にしました。

ホストが勝手を言って申し訳ありませんが、参加される方は、この4つの項目について、よろしければ回答を準備していただきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いします。

ミステリの深遠に触れる良い機会です。
是非、せんだい探偵小説お茶会まで足をお運びください。

なお、せんだい探偵小説お茶会とクイーンの相性が良いのか、レーン四部作読書会で来仙していただいた訳者の越前敏弥先生が、今回の読書会にもゲストとしてお越しくださるという喜ばしい連絡を受けました。
ミステリ、クイーンファンのみならず、越前敏弥先生ファンの方もせんだい探偵小説お茶会まで足を運んでみませんか。

■日程:2015年9月26日 16時30分~18時30分(途中退室可)

■会場:シルバーセンター 和室
(仙台市青葉区花京院1-3-2)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:エラリー・クイーン『エジプト十字架の秘密』(角川書店 訳 越前 敏弥・佐藤桂)

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※携帯メールは受信できない場合があるようです。主催者側から返信の無い場合は、お手数ですがPCメールで再度ご連絡ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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20th Report

第20回 せんだい探偵小説お茶会主催

泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』

読書会レポート

執筆者:73番目の密室

時に西暦2015年7月26日-陽射しは獰猛で、焦熱は極まり、街路には陽炎が揺蕩う盛夏の1日。杜の都の一角に鎮座する戦災復興記念館5階の和室に於いて、第20回せんだい探偵小説お茶会が開催されました。参加人数は11名、うち初参加の方が1名。全員が定刻までに到着してくださいました。おかき、大福、薄皮饅頭等のメンバーが持ち寄ったお菓子も各人に行き渡り、直前に手洗いに立ったホストが戻ってくるのを待って(どうもすみませんでした…)15時30分やや過ぎ、和やかなムードで読書会が幕を開けます。

課題書は『亜愛一郎の狼狽』。海外のブラウン神父シリーズと比肩される奇想と逆説と諧謔に満ちた“亜愛一郎シリーズ”の劈頭を飾る短編集。紋章上絵師、アマチュアマジシャンの顔も持つ多芸のミステリ作家泡坂妻夫の代表作として、今尚多くの人に愛されている1冊です。かく言う筆者も本書の熱狂的なファン、未だこれ以上の光彩を放つミステリ短編集にはお目にかかったことがありません(個人の感想です)。

皆様の自己紹介が済むと、いよいよ議題は本の感想へ。本読書会の傾向として以前から「ミステリを読む際にはストーリー性を重視する」という意見の方が多く、本作のような仕掛けに重点を置いた作品は酷評されるのでは…と始まる前には憂慮していたのですが、皆様の声を伺ったところ豈図らんや!殆どの方から好評をいただき、中には「続きを読んでみたい」と仰ってくれる方もおられ、私の杞憂を跡形もなく吹き飛ばしてくれました。ホストとして1ファンとして、実に嬉しい誤算でした。半数以上の方が今回初読ということにも関わらずとても好意的に受け止めていただき、心から『亜愛一郎の狼狽』を課題本に選んでよかった!と思えました。一方で「内容が腑に落ちなかった」「読みにくかった」という声も上がり、やはりアクの強さが人を選ぶ作品であることも確かなようです。また「登場人物の名前が印象的」「亜に相棒がいないのが残念」「“三角形の顔をした洋装の老婦人”が気になる」などの感想をいただきました。最後のご意見に関しては、是非続編を読んでいただきたく…(にやりと口元を歪めながら)

尚この感想を述べる際、亜シリーズを1作目の『DL2号機事件』が雑誌幻影城に掲載された時から読んでいたと仰るTさんが徐にバッグを開き、幻影城ノベルス版、角川単行本版、角川文庫版の『亜愛一郎の狼狽』、そして何と『DL2号機事件』掲載号の幻影城までをも取り出し、メンバーに回覧してくれました。思わぬサプライズに会場がどよめきます。グレイト、それってもう国宝級の代物じゃないですか!?もちろん私も狂喜し、自分のところまで回ってくると喉から手が出そうになるのを必死に抑えつつ(く、静まれ…!)、夢中になって見入りました。その間ホストの役目はそっちのけです。おい、司会しろよ。
ちなみに『狼狽』は上記3種の他に創元推理文庫版からも刊行されており、現在ではそれが唯一版を重ねている形態です。こちらの表紙は2種類あり、参加メンバーの多くは現在流通している表紙の版をもってこられたのですが、偶々私が持っていたのはそれ以前の表紙の版でした。つまり上記3種と合わせ、この日の会場には日本で刊行された『亜愛一郎の狼狽』の全ての表紙が期せずして集結したこととなります。

その後は著者のプロフィールなどを追っていき、一段落したところでメンバーに「収録作中でどの短編が一番好きだったか」という質問に答えていただきました。この結果、最も好評を博したのは『掌上の黄金仮面』。物語上で展開される情景の映像的なインパクトと、真相の逆説の巧みさが多くの人の心を捉えたようです。その他にも『掘出された童話』、『ホロボの神』といった作品も人気でした(『掘出された童話』は賛否がわかれました)。逆に『曲がった部屋』に関しては「作中に出てくるシデムシが気持ち悪い」という意見が主に女性陣から強く、やや敬遠されがちでした(苦笑)。尤も、「シデムシが苦手なだけでトリック等は好き」という声も多数聞こえてきました。他には「『G線上の鼬』は情景がイメージしにくい」という意見も。
またこのアンケートの際、今回の読書会を所用により欠席された仙台のクイーンファンさん(これまでの読書会では皆勤賞を達成されておられました。凄い!)がメールで送っていただいた感想が世話人のMさんにより発表されました。その中でクイーンファンさんは『ホロボの神』を作中1位に挙げ、また『DL2号機事件』についても激賞しておられました。クイーンファンさん、玉稿ありがとうございました。

その後レジュメに乗せた2,3の四方山話を経て雑談へ移ります。「亜愛一郎シリーズやブラウン神父シリーズのような面白さを持つ作品は他にありませんか?」という問いかけには、百戦錬磨の読書歴を誇る本読書会メンバーも中々答えられず。それほど本作含む亜シリーズやブラウン神父譚が、独創性に富んだ稀有な作風であるということなのでしょう。近年「泡坂妻夫の影響を受けた作家」としてしばしば米澤穂信が紹介されていることから、(主に米澤シンパであるホストの強引な先導により)同著者の『満願』『儚い羊たちの祝宴』『追想五断章』などの名も挙がりましたが、やはりこれらも“?”マークの浮遊する回答となりました。泡坂妻夫の奇想と諧謔を受け継ぐ作家が、一日も早く登場することを願って止みません。

そのような話に華を咲かせているうちに終了時間の17時半を迎え、今回の読書会も無事閉幕となりました。参加していただいた皆様、どうもありがとうございました。亜愛一郎の話を2時間思いっきりすることができ、ホストとしては至福至上の時間を過ごすことができました。他の方々にとってもそうであったなら、これ以上の喜びはありません。
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さて、月替わりで、国内ミステリーと翻訳ミステリーを交互に課題本に掲げている当読書会。
次回は、エラリー・クイーン『エジプト十字架の秘密』(角川書店 越前敏也訳)を9月26日に予定しています。
詳細は近日HPにて公開予定です。

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20th event

第20回 せんだい探偵小説お茶会主催

泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、7月26日(日)に第20回読書会を開催します。今回の課題本は泡坂妻夫の『亜愛一郎の狼狽』です。

今回は国内ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。

 

亜愛一郎の狼狽

 

2013年、ドラマ化もされた作品。
また、泡坂妻夫と言えば『11枚のトランプ』や『乱れからくり』といったオールタイムベストに選ばれるような作品を思い浮かべる人も多いことでしょう。
ですが、今回は『亜愛一郎の狼狽』です。
しかし・・・そんな泡坂妻夫ですら今回もホストは未読です。。。
いったい今まで何を読んできたのやら。

というわけで、ホストからの紹介です。

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泡坂妻夫。奇想を駆使し独創的なトリック・ロジックを数多生み出し続けた、ミステリ界の魔術師。近年彼が著した“仕掛け本”、『しあわせの書』が再び脚光を浴び、巻き起こった静かなブームが記憶に新しい方も多いかと思います。

そんな泡坂氏の処女短編集にして亜愛一郎シリーズの嚆矢、『亜愛一郎の狼狽』をこの度の課題図書に指名させていただきました。東西ミステリ1985年版国内編17位、2012年版国内編16位と、長期に渡りミステリファンから高い評価を受け続けている1冊です。最早「現代の古典」と言っても過言ではないでしょう。

長身で秀麗な顔立ち、貴公子的な風貌を持ちながらも、一皮むけばドジでノロマで小心者と三枚目そのもののフリーカメラマン、亜愛一郎。そんな彼が事件に遭遇し白目を向けば、持ち前の洞察力と想像力で忽ち真相を看破してしまいます。

こんなユニークでユーモラスな名探偵像も本書の大きな魅力の1つですが、彼が遭遇する事件もどれも奇妙奇天烈なものばかり。その陰に潜む読者の心理的盲点を突く意外な真相の数々は、さすがマジシャンの顔も合わせ持つ著者の面目躍如と言えるでしょう。文章も非常に軽妙でウィットに富み、読者はあれよあれよという間に読み進め、気がつけば著者の罠に絡め取られてしまいます。ミステリファンにとって至福の体験が、そこに待っています。

独特の思考形態が早くも光るデビュー作『DL2号機事件』、暗号ミステリの極地『掘り出された童話』、著者にしか書けない唯一無二の密室『ホロボの神』等々…傑作、怪作が勢ぞろい。1度ページをめくれば、貴方も泡坂ワールドが病みつきになること間違いなし!全編驚愕と諧謔に溢れた名短編集を是非ご堪能ください。

そして宜しければ、読書会にて皆様とこの魅力を大いに語り合いたいと思っております。奮ってのご参加、心よりお待ちしております。

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■日程:2015年7月26日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 第3和室
(青葉区大町2丁目12番1号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』(創元推理文庫)

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※携帯メールは受信できない場合があるようです。主催者側から返信の無い場合は、お手数ですがPCメールで再度ご連絡ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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