せんだい探偵小説お茶会

Sendai Reading-Party of Mystery

56th event

第56回 せんだい探偵小説お茶会主催

アンソニー・ホロヴィッツ『メインテーマは殺人』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、2020年4月19日(日)に第56回読書会を開催します。今回の課題本はアンソニー・ホロヴィッツ「メインテーマは殺人」です。

 

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

コロナウイルスの終息が見えない不安な時期ではありますが、こんな時だからこそミステリを読んで、知的興奮で世のことを忘れましょう!

そして、4月の読書会の開催される頃には、ミステリの解決で大団円を迎えるように元の生活に戻っている事を願いましょう!!

その読書会での課題書は?

第1位『このミステリーがすごい! 2020年版』海外編
第1位〈週刊文春〉2019ミステリーベスト10 海外部門
第1位『2020本格ミステリ・ベスト10』海外篇
第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇

快挙! 2年連続ミステリランキング全制覇の「メインテーマは殺人」アンソニー・ホロヴィッツ著  山田蘭訳(東京創元社)です!!!

「謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ」という惹句とランキングの件、昨年の本読書会で話題騒然となった「カササギ殺人事件』に並ぶ傑作と噂の1冊!

今回も、そんな話題作を課題書に選んでみました。

読んだ人も、まだ読んでいない人も、素晴らしい春の訪れを、ミステリの読書会とともに迎えてみませんか?


■日程:2020年4月19日(日)15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:トークネットホール仙台(仙台市民会館/第2会議室)
〒980-0823宮城県仙台市青葉区桜ヶ岡公園4-1 TEL022-262-4721

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:「メインテーマは殺人」アンソニー・ホロヴィッツ著  山田蘭訳(東京創元社)

※定員は先着順で17名(ホストを入れて18名)とさせていただきます。

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡
ください。なおメールの件名に『メインテーマは殺人読書会参加希』とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

※体調不良等の場合はキャンセルいただいても問題ございません。その場合はメールにてご連絡いただけますようお願いいたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

53rd report

第53回 せんだい探偵小説お茶会主催

「アメリカ銃の秘密」読書会レポート

文責 クイーン・ファン

第一幕

おかげさまで,せんだい探偵小説お茶会の7年目を終えようとしている2019年の暮れ,エラリー・クイーン祭りが満員御礼で無事開催されました。この場をお借りして,ご協力を賜った飯城勇三氏とご参加(メールでの参加)いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

さて,本題に入って。前々回の「スペイン岬の秘密」,前回の「シャム双子の秘密」と同様に,エラリー・クイーンファンクラブ以外のミステリランキングに取り上げられたことのない作品であります。1983EQFC(エラリー・クイーンファンクラブ)国名シリーズ+1アンケート11位(最下位),1997EQFC全長編アンケート17位,2014EQFC国名シリーズ+2アンケート10位と,「スペイン岬の秘密」「シャム双子の秘密」よりも評価が低い作品でありますが,本作品も魅力的な作品であることは間違いありません。本作品も魅力的な作品であることは間違いありません。会場に集った13名は,どのようなことをお話ししたのか? そしてアンケート結果の行方は? それでは,はじまり,はじまり!(出てくるページ数はすべて角川新訳版対象となります)

 

第二幕

毎回,クイーン読書会では,作品にちなんだお菓子が出てきます。前回の読書会では,探偵が菓子を食べる場面が見つけられなかったので,ホストの菓子選びは,お茶を濁すようなセレクトになってしまいました。そこで次回の読書会では探偵が菓子を食べている場面に出会えることを祈念していると,今回はありました!本書「アメリカ銃の秘密」(角川版エラリ-・クイーン著・ 訳・越前敏弥・国弘喜美代)408ページに! ホストからは,その本作品に出てきた「ブリオッシュ」を提供しました。実は,ホストはしばらく冷凍保存したあとに,レンジで温めて食べてみましたら,なかなかの美味で,味わいながら読書会の至福の時間を思い出しました。 閑話休題。

さて,自己紹介を終えて読書会は本書の内容へと。参加者の感想は以下のようなものでした。

「精密化したパズル」

「手掛かりの描写の仕方をどうしているか注意して読み,さすがにうまいものだなあと感じました」

「サイレントからトーキーへの移り変わりが発端ともいえる点が,横溝作品を思い出す」

「ストーリーはとてもシンプル。謎が少ないのでもっと短くできるかも」

「○○と○○が,○○という記述があれば高評価。作者は犯人を当てさせる気があったのでしょうか? ただ面白い! 結果的には満足!」

「面白かったのですが,最後の終わりがなんともすっきりしない感じなのが残念」

「エラリーって,文章から香り立つほど魅力的だったかしら・・・。犯人が明らかになった時には頭が真っ白!」

「ここまで大盤振る舞いの内容であったかと驚愕した。論理の詰め方に瑕疵が少なく徹底している」

「感心させられたが,そこに一定のリアリティがないと『意外な推理』も納得性がない。人間心理も加味した合理的な謎解きという点で,上位の国名シリーズより見劣りする」

「再読なのに,すっかり真相を忘れていた。○○○○○トリックにビックリ」

「銃を装飾している時代が好きなので,それだけでとても満足」

今回は,メールでの感想もいただきました。その中からピックアップをいくつか。

「○○の隠し場所は中々の盲点で上手いと思います」

「クイーンよりもカーの作風に近い印象を受けました。衆人監視の中の殺人,どこにも見つからない凶器,そして理路整然と無理矢理な解決編…どれも大変カーが好みそうです。よって私も好みです(笑)」

 

感想と重なる部分もありますが,美点として挙げられたのは,

「パズルにかけるいさぎよさ」

「論理の積み重ねだけでひっくり返してしまう。こういうのを論理のアクロバットというのだろう(論理と意外性の両立)」

「隠し場所とありえそうなトリック」

「アメリカ的な素材がふんだんにちりばめられている」

「○○は奇跡だったという台詞から逆説的に○○○○○トリックを作ったところはブラウン神父を意識してかな」

「ジューナがかわいい」こと等々でした。

 

疑問点や気になる点としては,

「動機と行動に整合性が見られない。だからすっきりしない終わり方」

「○○が熱を持っているのに○○できたのか?」

「ボクシングシーンはいらなかったのではないか(マディソンスクエアガーデンとわからせるため?)」

「銃の名手といえども犯行方法にリアリティが感じられない」

「手掛かりのところからも○○○○〇トリックはすぐ見破られるのでは。無理があるのではないか?」

「2万人の観客を閉じ込めるのはありえない」

「本書83Pの図からも殺害時の記録写真が正面から撮られているはずなのに,245Pの記述ではコーナーで遠心力がかかっている状況を正面から撮ったと記述されている。コーナーは明らかに正面から撮影できない」

「犯人が○○もせずに○○してしまった」

「手でひねって壊れる金庫は,如何なものか? 文章からイメージするのが難しかった」

「○○に,いつそんな練習をしていたのか?」

「ブラウン神父の名前を出したことに,もう少しリスペクトしてほしかった」等々があがりました。

 

第三幕

好きなキャラクターや台詞,場面についてもお話をうかがいました。

キャラクターは,

「カービー少佐」仕事ができる。簡単に協力する。連続射撃のスゴ技。

「クイーン警視」息子思い。

「ジューナ」やっぱりかわいい。

「ヴェリー部長」エラリーの対極にいる感じに好感。

場面は,

サイレントからトーキーへ移る時代を感じさせる。

ジューナの紹介からコロシアムへの入場。

エラリーが映像の編集を知らないシーン。

ヴェリーの「よくしゃべりますね」でエラリーが沈黙。

弾道推理のシーン

二度目の殺人(やっちまった。これで犯人はつかまるな)

451Pの惨劇を思い出すシーン。

台詞は,

「おたふくかぜにかかった,ケンタッキーの山男みたいだ」(いなかっぺという意味かも)273P。

エラリーの247P,248P,386P,406P,408P。

クイーン警視の「いいから口を閉じてろ!」から。80P。等々がでてきました。

 

第四幕

今回も参加者の方々にアンケートのご協力をいただきました。計13名の方々,ご協力ありがとうございました。(それぞれ10点満点です)

一昨年の「シャム双子の秘密」せんだい探偵小説お茶会アンケートの平均点が以下のような結果でした。

 

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
平均点 6.8 7.5 5.8 6.8 6.6 7.3

 

はたして,クイーンファンクラブの国名シリーズアンケートで評価が下位になってしまう「アメリカ銃の秘密」のせんだい探偵小説お茶会での評価は如何に?

「アメリカ銃の秘密」のアンケート結果は以下のようなものとなりました。

 

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
参加者 6 5 6 5 6
参加者 7 6 9 8 9 9
参加者 6 5 7 7 7 8
参加者 5 4 6 5 7 3
参加者 8 8 7 6 7 7
参加者 7 4 8 7 9 5
参加者 6 5 8 7 7 6
参加者 6 7 3 8 6 6
参加者 7 7 9 10 8 6
参加者 6 3 6 2 8 2
参加者 7 4 7 7 6 7
EQⅢ 7 9 9 8 9 5
ホスト 9 7 10 8 9 8
プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
平均点 6.7 5.5 7.2 6.8 7.5 6

昨年は,「シャム双子の秘密」と「スペイン岬の秘密」の平均点を比較してみると,ほぼ同じぐらいの点数となりました。ただし厳密に計算をしますと(平均点を足して6で割ります),「シャム双子の秘密」の方が少し高い点数でありました。

「アメリカ銃の秘密」と「シャム双子の秘密」の平均点を比較してみると,0.3ポイント「シャム」が高い点数となりました。「スペイン岬の秘密」とは同じ点数となりました。

以下は,せんだい探偵小説お茶会での「スペイン岬の秘密」の点数となります。

 

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
平均点 6.4 5.9 7.6 6.3 7.3 6.2

 

ドラマチックな作風の「シャム」に軍配が上がり,パズル性の高い作品が同じ点数になったことに興味を持ちました。

パズル性よりも小説としての評価が「アメリカ銃の秘密」の評価が下位となってしまったのかもしれません。それでもパズル性が評価されている(個人的な考えです)「スペイン岬の秘密」と平均点が同じというところは,クイーンのミステリに対する実験精神のレベルの高さを物語っているように思えます。

本作品でも皆様がいろいろとお話をしていただき幸甚でありました。録音した音源を聴いてニヤニヤしている姿を妻が見て,気色悪そうな表情を見せていました。今回もホストは,皆様のミステリ愛,クイーン愛をひしひしと感じることができました。

読書会終了後には,他県からいらしたM氏とM氏,仙台市のT氏からの古本プレゼントじゃんけんで奪い合いコーナーが開かれ,参加者全員が(ホストが一番大人げなく)鼻息を荒くして参加しました。目玉が飛び出るような稀覯本から,同人誌,新刊文庫から絶版本をいただきました。この場も借りて三氏への御礼を申し上げます。

 

終幕

2019年中,もしくは2020年のはじめに報告できればよかったのですが,仕事が遅く,他のこともしなくてはならなくて大幅に遅れてしまい,アンケートにご協力いただいた方々に大変申し訳なく思っております。この場を借りてお詫び申し上げます。

その間にコロナウイルスの感染が広がり,読書会にも影響が出て,この先の見通しはまだつきないと思えます。はやく終息に向かい,読書会を心置きなくできることを祈念しております。

今回もクイーン作品を再読し,参加された方々の正直なお話を聞けて,本当に幸甚でありました!

エラリー・クイーンの作品の深淵はまたまだ何かがありそうです!!

次回のクイーン祭りは「ギリシャ棺の秘密」を予定しております。皆様どうぞお元気で!!!

 

 

スペシャルボーナス(ここからは,真相に触れております。未読の方はご注意を!)

 

飯城勇三氏からのアンケート回答

01.「アメリカ銃の秘密」を読んだ感想

初読の時は,「中盤は退屈,終盤は感心」だった。『ローマ帽子』もそうだが,「何かが“ない”ことを証明するための捜査」というのは,退屈きわまりない。しかも,『ローマ』は本当に“ない”のだが,『アメリカ』は「本当は“ある”のに,警察が一箇所だけ(正確には四十箇所か?)調べなかった場所があった」という真相なので,余計に捜査シーンが説明過剰になり,退屈になってしまう。

一方,バックとそっくりなスタントマンの存在が伏せられているのは,初読の時はアンフェアだと思った。ただし,再読時にはフェアだと考え直した。このあたりは,拙著『エラリー・クイーン論』に書いたので省略。

02.「アメリカ銃の秘密」を以下の点から評価してください。(各項目10点満点。10点の基準はこれまで読んで来たミステリ作品で,10点と思えるものと比較して点数をつけてください。)

プロット=7,サスペンス=7,解決=9,文章=8,パズル性(論理性)=9,感動・余韻=5

03.あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞

キャラクター=バック・ホーン。

理由=このトリックを実行すると,バックは家族も知人も過去の栄光も捨て,別人として一生を終えなければならない。そこまで覚悟して娘のために殺人を犯した意志を評価して。

場面=133p。ヴェリーがライオンズの銃を取り上げる場面。

理由=さらりと書いているが,銃を振り回す男を素手で制圧するなんて,すごいことではないかな。

台詞=80pのエラリーの台詞。「四十一人いるんだよ!」

理由=初読の時,ドキッとしたので。もちろん,萩尾望都の『11人いる!』は,まだ読んでいなかった。

04.「アメリカ銃の秘密」の美点

①入れ替わりトリックでは,顔がつぶされていたり,首が切断されているのが普通だが,本作は違う。誰もが被害者はバックだと信じているのに,エラリーだけが,ベルトの穴や拳銃から,“論理的に”別人であることを見抜く。そこがすばらしい。

②二万人の容疑者から犯人を四十人に絞り込み,そこから一人に絞り込む手際がすばらしい。

Q5 「アメリカ銃の秘密」の弱点

やはり,第二の殺人が不要。中だるみを防ぐという狙いはわかるのだが,第一の殺人だけで犯人を特定できるデータを揃えることはできるはず。ここをカットして中篇にすれば,文句なしの傑作だったのだが。

 

ホストのあれこれ

01.「アメリカ銃の秘密」を読んだ感想

今回で再読と再々読となりました。初読時は,舞台の派手さと犯人の意外性に驚愕して『もしかして傑作なんじゃないか!』と思っていましたが,周囲で『入れ替わりトリックや被害者の唐突さにアンフェア』と語られていることで,流されやすい私は本作品についてのファーストインプレッションを忘れてしまっていました。そして,今回の再読,再々読で感じたことは『アメリカのことを完全に忘れて侮っていた!』でした。どうして,こんな傑作のことを忘れていたのだろう。今,国名シリーズのアンケートに答えることになったら上位5作に入れるといっても過言ではありません。

QUEENDOM100号のアンケートで大山誠一郎氏は「バールストン・ギャンビット(人物入れ替わりトリックのことです)は本作で3度目となる。そのためか,このネタを見破る手掛かりは,本作がもっとも充実している。」と語り,瀬名秀明氏は「世間の評判もいまひとつなので今回油断していたら,結末の犯人像に一番驚かされました。」と語っています。私も同感であります!

「第一の奇跡。恐ろしい蹄がまわりをそこらじゅう踏みつけたのに,この男の顔に傷がない。」(101p)とエラリーが語っていて,入れ替わりは『アンフェア』と指摘される方がいるかと思われますが,前ページ(100p)には頭の片側半分が陥没したと地の文で書かれていることから,エラリーのセリフはエラリーの主観でしかありません。頭の片側半分が陥没しているのですから,顔面が少し歪んでいることを示唆していると思われます。そして,キットや他の登場人物が,生前のバック・ホーンに似ている代役(スタントマン)を勤めた被害者と入れ替わっていることに気付かず,バック・ホーンであると語る可能性は高いと思われます。(死者の顔を見ると生前とは違って見えることを含めて,似た人物が入れ替われる可能性は高いと思われます)

つまり,作者クイーンがエラリーのセリフでミスリードしただけで,アンフェアではない,と言えると私は思います。

私は,大山誠一郎氏が語っていたように,3度目のバールストン・ギャンビットで,そのトリックと手掛かり,ストーリー・テーリングのブラッシュアップをはかるクイーンのミステリに対する真摯な姿勢に感服しました。また,1933年のクイーン作品は「Z」「アメリカ」「レーン」「シャム」と私が偏愛する作品が目白押し発表年となっています。北村薫氏が挙げるクイーンの「天上の論理」の片鱗が著しく羽ばたいているように思えます。前年をクイーンの奇跡の年と言われていますが(間違っていたらすみません)1933年は「奇跡のセカンド・カミング」と言えるのではないでしょうか。

02.「アメリカ銃の秘密」の評価点

プロット=9,サスペンス=7,解決=10,文章=8,パズル性(論理性)=9,感動・余韻=8(終わり方に,読者への余白が多く見られる実験的な姿勢に)

03.あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞

キャラクター=エラリー・クイーン

理由=J・Jにバック・ホーンやキット・ホーンのことを思って,動機について詳細を語らなかった点に,やはりエラリーはいいね!と思いました。

場面=455p。エラリーがJ・Jに沈黙を守るシーン。

理由=エラリーはいいやつだねと思えたからです。

もうひとつおまけを。

場面=368p。エラリーが口笛で歌劇<ラクメ>の一節を吹きはじめたが,複雑な旋律だったため,しばらくそちらに注意を奪われた。と183pの悲しげな曲をハミングしながら室内を歩きまわるシーン。

理由=クイーン作品では曲名やアーティスト名が出てくることは少ないのて,つい確認してしまいます。それと,曲名が書かれていないと,とても気になってしまいます。

台詞=「(略)わかっている,だけどわからない。(略)」(248p)

理由=真相はつかんでいるけれど,といったところがとても意味深で好きです。そしてツインピークスの赤い部屋の住人が与える言葉の雰囲気にも似ているので。

他,キャラクターであればカービー少佐(236p・341p)シーンであれば,ラジオでエラリーが紹介されるところ(287p)。

04.「アメリカ銃の秘密」の美点

バールストン・ギャンビット入れ替わりトリックの新しいバリエーションの発明と事件解明への手掛かり提示(ベルトの穴,銃の握り,総稽古の服装,金庫の壊し方,馬のこと,凶器の隠し場所),意外な被害者の発明をした本作品は,後のミステリ発展に大きく影響を与えていると思います。『Z』を思わせる犯人の絞り込みも素晴らしいです。

Q5 「アメリカ銃の秘密」の弱点

グラントに泣きついて,映画に返り咲きたいと気持ちからこのショーが作られていったのに,バック・ホーンがなぜ代役をこっそりと殺害しなかったのかと理由を考えると。彼の殺害と自分の保険金,キットの守護者として彼女の幸せを見まもる位置につき,そして愛するカウボーイらしい暮らしから離れたくないことと,グラントへの恩返しからとかかんがえていたのかなともいえるのでしょうが,犯罪に利用するホーンの考え方に違和感を覚えます。グラントに泣きついた時点ではカムバックを望んでいたのに,その後,借金と脅迫から犯行に及んだということなのだと思いますが。グラントに泣きついた時点で計画していたのだとしたら,ライツヴィルものの片鱗が表れ始めていたのかもしれません。それをうまく表現できなかったことが弱点なのではと考えています。

また,野村芳太郎監督の映画「砂の器」のようなエピソードがされて人物を掘り下げて行ったら,面白くなりそうだなとも思いました。(エラリーも452pで動機や背景を同じように考えているようです。でも,犯人を知ってはいても433pのような理由で泳がせたのは,パズルを成立させるための弱点と思えます。)

それと,被害者がホーンだと思われていたけれど,エラリーがハリウッドから届けられた電報から代役の可能性を考えたのであれば,指紋を調べようとしなかったことも疑問に思うと思われます。他の作品でも同じような弱点があって,今回も同じようなので,これはクイーンがわざと指紋について避けていると思われます。

422pでホーンが二丁拳銃のうちの一丁しか渡さなかったのもパズルのためでしょう。

被害者をどのようにして引き寄せたのか(3000ドルは強請,そうでなければ代役依頼料)? まったく関係ないボクシングの試合(レッドへリング?)等,色々と瑕疵はありますが,それでも面白いのですから弱点はあってもよいと私は思うことにしています。(クイーンに関してだけです。)

その他

本作品を読んでいる時期にクエンティン・タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を観て,暗合めいた奇妙な感覚にとらわれました。時代は違うのですが,映画の主人公たちとバック・ホーンと代役との比較をするのも面白いです。映画も超おすすめ作品です。(読書会の参加者の一人から同じようなお話が出てきました。まさにミステリの暗号!)

またまた,ツインピークスとの関連を発見!片腕の男,ファミリーネームのホーン(ちなみにベン・ホーンやオードリー・ホーン),ステットソン帽の保安官,私のお気に入りのセリフ,馬が出るなどがありました。監督のデヴィッド・リンチはクイーン作品に親しんでいたという仮説に本読書会でより近づいていることを確信しております。

 

(参考文献)

「エラリー・クイーン論」飯城勇三著(論創社)

「エラリー・クイーン推理の芸術」フランシス・M・ネヴィンズ著 飯城勇三訳(国書刊行会)

「EQFC会誌 Queendom」

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55th event

第55回 せんだい探偵小説お茶会主催

白井智之『そして誰も死ななかった』温泉宿読書会

新型コロナウイルスの感染拡大を受けまして、読書会を延期させていただきます。延期後の開催予定につきましては、今後の状況を踏まえ、あらためてご案内させていただきます。

せんだい探偵小説お茶会では、2020年3月14日(土)~3月15日(日)に第55回読書会を開催します。今回の課題本は白井智之『そして誰も死ななかった』です。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

2020年、トウキョウオリンピックを間近に迎える中、今年もやってまいりました! 温泉宿泊読書会!!
むかう温泉は宮城県仙台市作並温泉!!!温泉と共にリゾート気分を満喫です。

そして課題書は「2020本格ミステリ・ベスト10」第5位!その中での「装丁大賞」!!「本格新時代を拓く期待の新鋭、気鋭」に選ばれた、白井智之氏の「そして誰も死ななかった」!!!
クリスティー、バークリー、鮎川哲也を彷彿とさせる大傑作。孤島じゃなくてもリゾート気分な宿と温泉読書会にぴったりの課題書であります。
あらすじや読みどころをお伝えしたいのはやまやまですが、本作品も、他の作品同様なにも情報を得ず、先入観なしで読了していただくことが、最大の幸せと、今回も言わせていただきます。

恒例となった本作を音楽アルバムに例えるなら、JOY DIVISIONの「UNKNOWN PLEASURES」(法月綸太郎の「パズル崩壊」の短編題名にその収録曲名に多く使われた名盤であります)と、Gorillazの「Plastick Beach」の2枚が本長編にピッタリと合うアルバムであります。アルバム1枚では語れないスピードとサスペンス、そしてユーモアとペーソスなどの複雑さから、今回は2枚選びました。どちらも名盤です。是非聴いてみては如何でしょうか。

読書会の他には、懇親会とミステリに関するゲームを企画しております。

皆様の御参加、心よりお待ちしております!


■日程:2020年3月14日(土)~3月15日(日)

■会場:参加される方に後日連絡いたします。

■参加費:1万2千円~1万4千円
(集合場所は仙台駅を予定しております。移動手段は現在調整中ですが、公共交通機関の利用に伴い、別途運賃がかかることがあります。)

■持物:白井智之著『そして誰も死ななかった』(KADOKAWA)

■定員:先着順で9名とさせていただきます。

■申し込み :氏名・連絡先を明記の上、sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。なおメールの件名に「温泉宿泊読書会参加申し込み」とご記載ください。

■申し込み期間:3月4日(水)まで。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。また後日、会費やスケジュールについての詳細をメールでお送りします。

不明点は上記のメールアドレスよりご連絡ください。
ご参加お待ちしております!

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54th event

第54回 せんだい探偵小説お茶会主催

『虚無への供物』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、2020年2月29日(土)に第54回読書会を開催します。今回の課題本は中井英夫『虚無への供物』です。

※おかげさまで満席となりましたため、受付を終了いたします。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

1964年(昭和39年)2月29日。ミステリの一大事件が起きました。それは、今でも綺羅星のごとく輝き、ミステリ愛好家たちの語り草となっている日でもあります。

な、なんと今年の2月29日は土曜日。なんたる奇縁!これは、せんだい探偵小説読書会に「あの本」を課題書にとの啓示ではないでしょうか!!

皆さん、お気づきでしょう。2月29日とは「あの本」が初刊行された日なのであります。そして、それから56年を経て、あの黒い水脈の一冊が、とうとう課題書となるのです。

「虚無への供物」

1986年、2012年「東西ミステリベスト100」国内編、どちらも2位の大傑作!!!

文庫700ページの大作でありますが、心配はご無用!あらすじも必要ありません。扉のヴァレリイの詩を目にしただけで、もう物語の中に吸い込まれて行きます。それは、まさにミステリの深淵体験!!

読んだことのあるあなた、まだ読んでいないあなた、この読書会をきっかけに、凶鳥の黒影の下、本作品について美酒を味わいながら、大いに語り合い、ミステリの深淵に触れてみませんか!!!


 

■日程:2020年2月29日(土)15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:古本あらえみし/ (有)荒蝦夷内
(〒983-0852仙台市宮城野区榴岡4-7-12 TEL&FAX.022-298-8455 http://araemishi.la.coocan.jp/)
◎仙台駅東口より徒歩5分
◎地下鉄宮城野通駅より徒歩2分

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:「虚無への供物」 / 塔昌夫・中井英夫(どこの出版社でもOKです)

※定員は先着順で11名(ホストを入れて12名)とさせていただきます。

※コーヒーと紅茶は出ますが、各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡ください。なおメールの件名に『虚無への供物読書会参加希望』とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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53rd event

第53回 せんだい探偵小説お茶会主催

『アメリカ銃の秘密』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、12月21日(土)に第53回読書会を開催します。今回の課題本はエラリー・クイーン『アメリカ銃の秘密』です。

※おかげさまで満席となりましたため、受付を終了いたします。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


あれ、今年はどうしたのかな?せんだい探偵小説お茶会の大人気恒例行事はないのかな?と心配していた皆様お待たせしました!令和元年の最後を飾る読書会!!今年はクリスマスプレゼントとなっての「クイーン祭り」!!!( ファンファーレ)

今年の課題本は、な、なんと超名作「エジプト十字架の秘密」と大異色作「シャム双子の秘密」の間を繋ぐ傑作!国名シリーズ第6作「アメリカ銃の秘密」です。

どんなお話かというと。ロディオ・ショーが行われるコロシアムに2万人の観衆が訪れたその時、目の前で殺人事件が起きた!コロシアムは即座に閉鎖され、警察が捜査したにもかかわらず凶器は発見されない。容疑者2万人の中にいる犯人は、巨大な密室の中でどのように凶器を消したのか?観衆の一人だった探偵エラリーの推理は如何に!

どうです、ワクワク、ゾクゾクが止まらないじゃないですか。おもしろいこと間違いなし!

令和元年、最後の読書会でミステリの深淵に触れてクリスマスと新年を迎えてみませんか?

皆様の御参加お待ちしております!


■日程:2019年12月21日(土)15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:古本あらえみし/ (有)荒蝦夷内
(〒983-0852仙台市宮城野区榴岡4-7-12 TEL&FAX.022-298-8455 http://araemishi.la.coocan.jp/)
◎仙台駅東口より徒歩5分
◎地下鉄宮城野通駅より徒歩2分

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:エラリー・クイーン著 越前敏弥・国弘喜美代訳「アメリカ銃の秘密」(角川文庫)

※定員は先着順で11名(ホストを入れてQueenな12名)とさせていただきます。

※コーヒーと紅茶は出ますが、各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡ください。なおメールの件名に『クイーン読書会(もしくは祭り)参加申し込み』とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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52nd event

第52回 せんだい探偵小説お茶会主催

『マレー鉄道の謎』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、11月23日(土)に第52回読書会を開催します。今回の課題本は有栖川有栖『マレー鉄道の謎』です。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


今回の課題図書は有栖川有栖の『マレー鉄道の謎』です。
ずっといつか誰かと感想を話しあってみたいと思っていた本を選んでみました。
火村英生シリーズの長編です。旅する名探偵と目張り密室に興味がおありの方はぜひご参加ください。


■日程:2019年11月23日(土) 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:旭ケ丘市民センター4F第2会議室
(〒981-0904 青葉区旭ケ丘3丁目25番15号 TEL:022-271-4729 )
◎地下鉄旭ケ丘駅より徒歩1分。バスターミナルに併設。

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:有栖川有栖『マレー鉄道の謎』(講談社)

※定員は先着順で15名とさせていただきます。

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡ください。なおメールの件名に「マレー鉄道の謎読書会参加申し込み」とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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51st event

第51回 せんだい探偵小説お茶会主催

『狂骨の夢』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、10月26日(土)に第51回読書会を開催します。今回の課題本は京極夏彦『狂骨の夢』です。

 

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


「晴読雨読」
古本あらえみし に掲げられている色紙に書かれた言葉です。
まさに晴読雨読の12名で「狂骨の夢」読書会を行います。

降旗くんの幼い頃から見る夢
宇田川明美の記憶
二子山集団自殺
3つの出来事がどう絡み、金色髑髏はどんな夢を見るのか?!
お楽しみください。

 


■日程:2019年10月26日(土)
15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:古本あらえみし/ (有)荒蝦夷内
〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡4-7-12
TEL&FAX.022-298-8455
http://araemishi.la.coocan.jp/
◎仙台駅東口より徒歩5分 ◎地下鉄宮城野通駅より徒歩2分

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:京極夏彦『狂骨の夢」(講談社文庫)

※定員は先着順で11名とさせていただきます。
※コーヒーと紅茶は出ますが、各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

■申し込み :氏名・連絡先と『狂骨の夢読書会参加申し込み』と明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

 

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50th event

第50回 せんだい探偵小説お茶会主催

『ポー名作集』&『江戸川乱歩短篇集』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、9月28日(土)に第50回読書会を開催します。今回の課題本はエドガー・アラン・ポー『ポー名作集』と江戸川乱歩『江戸川乱歩短編集』です。

※おかげさまで満席となりましたため、受付を終了いたします。

 

まずはホストからの紹介文をどうぞ。



6年半前にスタートした当読書会も、回を重ねてついに第50回の節目を迎えることになりました。この記念すべき時をミステリの原点をふり返る機会とすべく、今回は、近代探偵小説の始祖エドガー・アラン・ポーと、日本のポーたらんとの思いを筆名にこめた江戸川乱歩の作品集を課題書に選んでみました。

「モルグ街の殺人」、「マリー・ロジェの謎」、「黄金虫」、「お前が犯人だ」、「盗まれた手紙」――たった5つの短篇で探偵小説なるものの原型を確立してしまったポーの業績は、たとえば次のようにも評価されています。

「印刷術と同様、探偵小説はそれがはじめて発明されてから、ただ機械的方法だけが改良されてきた。芸術的作品として、グーテンベルグの聖書とポーの「モルグ街の殺人」はいまだかつて何ものにも凌駕されたことがない。実際、探偵小説がもつ芸術的可能性はどんなものでもすべて、その誕生のときに実現されてしまったと言ってもよいであろう。」

(フィリップ・ヴァン・ドーレン・スターン)

ポーなかりせば、コナン・ドイルもエラリー・クイーンもいなかった。高木彬光も京極夏彦も白井智之もいなかったでしょう。

われわれが日々楽しませてもらっているミステリというジャンルの作品は、今や大河のように豊かな流れをなして文学の大海に注ぎ続けています。その源流を訪ねる小さなツアーに参加してみませんか?


■日程:2019年9月28日(土) 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:古本あらえみし/ (有)荒蝦夷内
〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡4-7-12
TEL&FAX.022-298-8455
http://araemishi.la.coocan.jp/
◎仙台駅東口より徒歩5分 ◎地下鉄宮城野通駅より徒歩2分

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:エドガー・アラン・ポー『ポー名作集』(中公文庫)、江戸川乱歩『江戸川乱歩短編集』(岩波文庫)

※定員は先着順で9名とさせていただきます。

※コーヒーと紅茶は出ますが、各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡ください。なおメールの件名に「ポー&乱歩読書会参加申し込み」とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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49th event

第49回 せんだい探偵小説お茶会主催

『薔薇の名前』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、8月24日(土)に第49回読書会を開催します。今回の課題本はウンベルト・エーコ『薔薇の名前』です。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。



紹介の必要がない課題書だ、当然のことながら。

 

話題作なので買ってはみたものの、今まで書棚に眠ったままだったかたは、書物の頁が貼りついてしまっているかもしれません。「書物にとっての喜びは読まれることにある」(『薔薇の名前』下巻226p)まさしく、あなたが書物に喜びを与えられるこの機会に、ぜひ頁をめくってみてはいかがでしょうか。

8月24日は、1934年の35歳の誕生日に自殺を決意したボルヘスが、拳銃とエラリー・クイーン『エジプト十字架の謎』を持ってホテルに宿泊しますが、結局、拳銃をテーブルに置いて、『エジプト十字架の謎』を朝まで読んでいたという伝説の一夜の日付でもあります。
『薔薇の名前』読書会を開催するのに、これ以上の日はありません。ご参加の皆様に福音がありますように。


■日程:2019年8月24日(土)
14時30分:開場 14時45分:受付 15時:前説 15時15分~17時30分:読書会(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 【〒980-0804 仙台市青葉区大町2-12-1 TEL:022-263-6931】

■参加費:一般500円、学生無料(会場費、諸経費等)

■持物:ウンベルト・エーコ著 河島英昭訳『薔薇の名前』上下巻 東京創元社刊
※下巻巻末の解説は、必ず本文読了後にお読みください。

■定員:ホストとその助手を除いて、約数の和が完全数になる2番目(1つ前は5、次は427)の数である12名。日本語で十二分といえば充分すぎること。トランプではクイーンを表わし、聖書では完全数。それゆえイエスの使徒は12名なのです

■申し込み :先着順です。氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡ください。なおメールの件名に「薔薇の名前読書会参加申し込み」とご記載ください。

※準備の都合上、定員にならなくとも8月20日(火)で受付を締め切ります。ご希望のかたはお早目にお申込みください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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48th event

第48回 せんだい探偵小説お茶会主催

白井智之『お前の彼女は二階で茹で死に』温泉宿読書会

せんだい探偵小説お茶会では、7月20日(土)~7月21日(日)に第48回読書会を開催します。今回の課題本は白井智之『お前の彼女は二階で茹で死に』です。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

今年もやってまいりました! 温泉宿泊読書会!!
むかう温泉は宮城県石巻市の「追分温泉」。温泉と共に海の幸も満喫です。

そして課題書は、白井智之氏が平成最後のクリスマスに出版された「お前の彼女は二階で茹で死に」です!!!
茹で上がってしまうような衝撃作。温泉宿の読書会にぴったりの課題書であります。

本作品は、老舗ミステリサークル「SRの会」の2018年間ベスト10に10位入賞しました。そして著者作品に欠かせない本格ミステリとマイノリティーへの愛を、これまで以上に深く感じさせられる傑作です。

あらすじや読みどころをお伝えしたいのはやまやまですが、なにも情報を得ず、先入観なしで読了していただくことが、最大の幸せだと言わせていただきます(帯も読まないようにすることをホストはお薦めします)。

とにかく、最後まで読み終えたときのカタルシスは、ミステリ、ロジック、トリック、哲学、愛などを考えるうえで特別なものになることは間違いないと思います!

本作を音楽アルバムに例えるなら、ブラーのアルバム第5作「blur」です(登場人物はoasisのメンバーと同じ名前ですか、思い浮かべたのはライバルバンドでした)。
このアルバムの惹句「ポップイズデッド」という言葉とアルバム全体を漂う苦味のようなものが、本作品の雰囲気にぴったりです!

昨今はクラシックロックと呼ばれるようになりましたが。古びているというわけではありません。一級品の意味でのクラシックロックなのであります。
どちらも5作目。そして一級品! 不思議な暗号のような謎を感じずにはいられません。是非聴いてみては如何でしょうか。

読書会の他には、懇親会とミステリに関するゲームを企画しております。

皆様の御参加、心よりお待ちしております!


■日程:2019年7月20日(土)~7月21日(日)

■会場:追分温泉(宮城県石巻市北上町女川字大峯1)
TEL 0225-67-3209
http://www.i-kanko.com/archives/777

■参加費:1万円~1万3千円
(集合場所は仙台駅を予定しております。移動手段は現在調整中ですが、公共交通機関の利用に伴い、別途運賃がかかることがあります。)

■持物:白井智之著『お前の彼女は二階で茹で死に』(実業之日本社)

■定員:先着順で9名とさせていただきます。

■申し込み :氏名・連絡先を明記の上、sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。なおメールの件名に「温泉宿泊読書会参加申し込み」とご記載ください。

■申し込み期間:7月10日(水)まで。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。また後日、会費やスケジュールについての詳細をメールでお送りします。

不明点は上記のメールアドレスよりご連絡ください。
ご参加お待ちしております!

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47th event

第47回 せんだい探偵小説お茶会主催

『明治断頭台』『築地精養軒』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、6月22日(土)に第47回読書会を開催します。今回の課題本は山田風太郎『明治断頭台』『築地精養軒』(明治波濤歌 下巻収録)です。

 

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

令和最初の読書会は、山田風太郎を取り上げます。

能力バトル物の始祖として忍法帖シリーズが有名ですが、それ以外にも本格ミステリや、明治物等様々なジャンルの作品を残しており、2013年の東西ミステリーベスト(文藝春秋)では四作品が入り、また今年4月の本の雑誌での昭和ミステリー作家番付では東の横綱に選ばれるなど、近年再評価が進んでいる作家でもあります。

今回は、その明治物の中で最もミステリ色が強く、また山田風太郎という作家のもつテーマ性の具現化もされており、作者自身の評価も高い『明治断頭台』(先に挙げた東西ベストミステリーでは90位)を課題書とします。

ミステリ方面および明治物での山風入門としては最適な一冊と言ってよいでしょう。

しかし『明治断頭台』は昨年5月にお隣の福島で取り上げてるじゃないか!しかもその時は『甲賀忍法帖』との二本立てという最高な布陣。

そこで今回は、やはり評価が高い明治物短篇集『明治波濤歌』から、これもミステリ系な『築地精養軒』をとくに選んでプラスワンの課題書とさせていただきます。

『明治波濤歌』は(文庫だと上下二巻に)全六編の独立した短編で構成された作品集でどれも粒ぞろい。『築地精養軒』は下巻収録ですが、なんと森鴎外「舞姫」のヒロイン・エリスが鴎外を追って来日し探偵役を務めるという趣向です。

あくまで今回取り上げるのは『築地精養軒』のみですので、用意されるテキストは勿論下巻のみで構いません。

課題書はあくまで一冊+短編一編といいながら、何冊買わせるつもりだとお叱りを受けそうですが、山風布教のためなら何でもやるのが今回のホストです。

また先に触れたミステリー作家番付ですが、せっかくの機会ですし「私の番付」も当日参加の方々からお聞き出来ればと思っています 。

当方、初ホストで至らぬところが有るかもしれませんが、精一杯勤めさせていただきます。山風ファンは勿論これが初山風という方にも参加していただければと思います。

皆様のご参加心よりお待ちしております。


■日程:2019年6月22日(土) 15時30分~18時00分(途中退室可)

■会場:古本あらえみし/ (有)荒蝦夷内
〒983-0852
仙台市宮城野区榴岡4-7-12
TEL&FAX.022-298-8455
http://araemishi.la.coocan.jp/
◎仙台駅東口より徒歩5分 ◎地下鉄宮城野通駅より徒歩2分

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:山田風太郎『明治断頭台』『明治波濤歌 下巻(築地精養軒)』(それぞれ ちくま文庫他)

※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。なおメールの件名に「明治断頭台+1読書会参加申し込み」とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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46th event

第46回 せんだい探偵小説お茶会主催

『さむけ』『狙った獣』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、4月20日(土)に第46回読書会を開催します。今回の課題本はロス・マクドナルド『さむけ』とマーガレット・ミラー『狙った獣』です。

 

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

次回の課題書は、アメリカン・ミステリの代表的二作品、ロス・マクドナルドの「さむけ」と、マーガレット・ミラーの「狙った獣」を取りあげます。この二人はオシドリ作家としても有名です。

“大人になったら、ハードボイルド”と言った人がいますが、アメリカン・ミステリを語る時、ハードボイルド(私立探偵小説)は避けては通れないジャンルです。

ロス・マクは、ハメット、チャンドラーと並ぶ“ハードボイルド御三家”と呼ばれていますが、ハードボイルド嫌いの方(かくいう私もそうです)でもご安心を。「さむけ」は、綿密な謎解きのプロセスと意外な結末で構成された、ミステリ味あふれる彼の代表作です。

一方のマーガレット・ミラーは、アメリカン・ミステリのもう一つの旗頭、心理(ニューロティック)サスペンス・ジャンルの代表的作家です。不安感を漂わす硝子のような繊細さや切れのあるサスペンスが持ち味で、なかでもMWA受賞作「狙った獣」は、人間の暗部を深く抉ったフーダニットの傑作といわれています。

この機会にアメリカン・ミステリの神髄に触れ、あわせて名文家で知られる二人の流麗な文体と、最後の一行の余韻をご堪能ください。


■日程:2019年4月20日(土) 15時00分~18時00分(途中退室可)

■会場:生涯学習支援センター(旧:中央/創作室(2))
(〒983-0852 宮城野区榴岡4丁目1番8号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:ロス・マクドナルド『さむけ』(小笠原 豊樹訳 ハヤカワ・ミステリ文庫)
マーガレット・ミラー『狙った獣』 (雨沢 泰訳 創元推理文庫)

※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はござい
ません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。なおメールの件名に「さむけ・狙った獣読書会参加申し込み」とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

 

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45th event

  • 第45回 せんだい探偵小説お茶会主催

ジョン・ディクスン・カー『三つの棺』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、3月30日(土)に第45回読書会を開催します。今回の課題本はジョン・ディクスン・カー『三つの棺』です。

※おかげさまで満席となりましたため、受付を終了いたします。

 

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

〈課題書選定実績ナンバーワンのエラリー・クイーンに追いつき追い越せプロジェクト〉の第一弾は、常にクイーンと並び称される巨匠、ジョン・ディクスン・カーの巻です。

当会でこれまで読んだカーは、『ユダの窓』と『白い僧院の殺人』の二冊。いずれもカーター・ディクスン名義のヘンリー・メリヴェール卿物でしたから、今回はフェル博士物の『三つの棺』を取り上げることにしました。密室物を得意としたカーの諸作の中でもひときわ名高い代表作です。

『有栖川有栖の密室大図鑑』によれば、「『三つの棺』を読まずして密室ものを語るのは、『スター・ウォーズ』を観ずにSF映画を語るに等しい」。なるほど、うまい言い方をされますね。私に言わせれば、『スミスにおまかせ』を読まずにP・G・ウッドハウスを語ろうとするようなものなんだが、……通じないかな?

ま、それはいいとして、控えめに言ってもミステリの基本図書の一冊である本書、この機会にぜひご一読を。

本書の読みどころの一つが、フェル博士による「密室講義」。これは、江戸川乱歩が「あれは実によく出来ている。あらゆる『密室』トリックが簡潔に網羅されている。……英米の代表的な探偵小説を読めば読むほど、あの『講義』の真価が分ってくる」と評したほどの名講義なのですが、それだけに問題なきにあらず。これも密室物の古典的名作と言われるガストン・ルルー『黄色い部屋の秘密』のネタバレをしてくれちゃってるんですね。

『黄色い部屋』を未読の向きは、この際同書を先に読むか、それがかなわぬ場合には「密室講義」が語られる第17章を飛ばして読むか(それで筋が分からなくなることはない)していただく必要があるでしょう。私としては断然前者をおすすめしますけれど。


■日程:2019年3月30日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:青葉区中央市民センター(第1会議室)
(〒980-0811 青葉区一番町2丁目1番4号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:ジョン・ディクスン・カー『三つの棺(新訳版)』(加賀山卓朗訳 ハヤカワ・ミステリ文庫)
※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はございません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。なおメールの件名に「三つの棺読書会参加申し込み」とご記載ください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

 

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44th event

第44回 せんだい探偵小説お茶会主催

アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」読書会

せんだい探偵小説お茶会では、2月23日(土)に第44回読書会を開催します。今回の課題本はアンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」です。

※おかげさまで満席となりましたため、受付を終了いたします。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


皆様、新年を迎えて如何お過ごしでしょうか?
せんだい探偵小説お茶会は今年で7年目を迎えることになりました。今年も、おもしろい本をどんどん課題書にして、ミステリーの深淵を少しでも覗き込めたらと思います。

2019年最初の読書会では、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「2019本格ミステリベスト10」「ミステリが読みたい!」と、ランキング本で、のきなみ1位を飾った作品「カササギ殺人事件(上下巻)」(アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫)を課題書にいたします。

あらすじには、アガサ・クリスティーへのオマージュとありますが、ホストのクイーンファンである私でも読んでみたい話題作! あえて、内容については触れません! まっさらな状態で参加していただきたいと思います。

読書会では、作品を激賞しても良し!
クリスティーを称賛しても良し!
クイーンと比較しても良し!
歴代ベスト1作品と比べても良し!

参加される方々の色々な感想やお話をお聞きできれば幸甚であります。
皆様の御参加、心よりお待ちしております。


■日程:2019年2月23日(土) 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場:青葉区中央市民センター(第3会議室)
(〒980-0811 青葉区一番町2丁目1番4号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件(上下巻)』(山田蘭訳 創元推理文庫)
※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はございません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

 

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43rd event

第43回 せんだい探偵小説お茶会主催

ウィルキー・コリンズ「月長石」読書会

せんだい探偵小説お茶会では、12月15日(土)に第43回読書会を開催します。今回の課題本はウィルキー・コリンズ「月長石」です。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


次回の課題書は、ミステリの大古典の一つ、ウィルキー・コリンズの『月長石』(創元推理文庫)です。
1868年に初版が刊行されたこの作品の、今年は150周年にあたるという事実に気づいていた方はどれくらいいるでしょうか。かくいう私も、英国のコリンズ社(作者とは関係ないんだろうな?)の〈ディテクティヴ・クラブ〉叢書で復刊された『The Moonstone』のジャケットに、「150TH ANNIVERSARY EDITION」とあるのを見て初めて気がついたのですけれど。
でも、そうと気づいてしまったからには、今年の読書会で『月長石』を取り上げないというわけにはまいりません。何しろ『月長石』は、『ブラウン神父』や『毒入りチョコレート事件』と並ぶわが最愛の作品。いつかは取り上げたいと心に期していましたから。
この作品の素晴らしさについて、ドロシイ・L・セイヤーズは次のように述べています(宮脇孝雄訳「探偵小説論」より引用)。

「……あらゆる要素を考え合わせれば、『月長石』は史上屈指の探偵小説であるといえるだろう。その視野の広さや、揺るぎない構成や、多岐に及ぶ見事な性格造形の手堅さと比べれば、現代の探偵小説はいかにも痩せ細った作り物に見える。人間のすることに完璧はないが、『月長石』こそは類似の作品中もっとも完璧に近いものだろう。」

この最上級の讃辞が過褒にはあたらないことを、どうぞ皆さん自身の眼で確かめていただきたいと思います。

まさか……本の厚さに怖気づいている人はいないでしょうな。
かつてドルリー・レーン四部作を四冊まとめて取り上げ、漱石『吾輩は猫である』&奥泉光『『吾輩は猫である』殺人事件』なんてのもこなしてきた当読書会じゃありませんか。800ページ足らずの本に音を上げていてどうする!
――なんて活を入れる必要もないでしょう。心配はいりません。リーダビリティは抜群、魅力的な語り口にぐいぐい物語の中に引き込まれ、ボリュームのことなど忘れさせてくれること必定ですから。


 

■日程:2018年12月15日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場: 生涯学習支援センター(旧:中央 / 和室)
(宮城野区榴岡4丁目1番8号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:ウイルキー・コリンズ『月長石』(中村能三訳 創元推理文庫)
※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はございません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。
これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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42nd event

第42回 せんだい探偵小説お茶会主催

「神津恭介、密室に挑む 」読書会

せんだい探偵小説お茶会では、11月10日(土)に第42回読書会を開催します。今回の課題本は高木彬光「神津恭介、密室に挑む 神津恭介傑作セレクション<1>」です。

※おかげさまで満席となりましたため、受付を終了いたします。

 

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


みなさんこんにちは。今回の課題図書は高木彬光著「神津恭介、密室に挑む 神津恭介傑作セレクション<1>」です。

名探偵神津恭介が活躍する本格探偵小説が6本収録された短編集です。

どれも謎解きの楽しさがつまった名作ばかり。ぜひ読書会にお越しください。

※作中に高木彬光著『刺青殺人事件』のネタバレにつながる部分があるので未読の方はご注意ください!!


■日程:2018年11月10日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場: 生涯学習支援センター(旧:中央 / 第1セミナー室C)
(宮城野区榴岡4丁目1番8号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:高木彬光著『神津恭介、密室に挑む 神津恭介傑作セレクション<1>』(光文社)

※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はございません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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40th report

第40回 せんだい探偵小説お茶会主催

エラリー・クイーン「シャム双子の秘密」&北村薫「ニッポン硬貨の謎」

読書会レポート

執筆者:クイーン・ファン

第一幕

せんだい探偵小説お茶会も6年目を迎え、今年もエラリー・クイーン祭りが無事開催されました。ホストのふがいなさで紆余曲折はありましたが、この場をお借りして、ご協力を賜った飯城勇三氏とご参加いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

今回企画したのは、「シャム双子の秘密」(角川文庫 エラリー・クイーン著 訳 越前敏弥・北田絵里子)と「ニッポン硬貨の謎」(創元推理文庫 北村薫著)でした。

2冊というボリュームがあっても、14名の方に参加していただきました。(初参加は2名でした。それも関東から!)。

さて、本題に入って。前回の「スペイン岬の秘密」と同様に、エラリー・クイーンファンクラブ以外のミステリランキングに取り上げられたことはありませんが、直木賞作家の北村薫がパスティーシュを作るまでに至った魅力的な作品であることは間違いありません。

1983EQFC(エラリー・クイーンファンクラブ)国名シリーズ+1アンケート5位、1997EQFC全長編アンケート12位、2014EQFC国名シリーズ+2アンケート8位と、「スペイン岬の秘密」よりも、「シャム双子の秘密」は評価が高いと思われる作品であります。

今年も梅雨の時期でありましたが、昨年同様、夏日の暑さで厳しい中、せんだい探偵小説お茶会を迎えることとなりました。

参加者の感想は好意的なものか? それとも不満の声か? ホストとしては、どちらの考えも聞きたい! なぜなら、読者それぞれによる考えがあってこそ、作品のとらえ方が複雑になり、深まっていくと考えているのですから。それでは、はじまり、はじまり・・・・。

第二幕

毎回、クイーン読書会では、作品にちなんだお菓子が出てきます。ホストからは「シャム」ということで、タイのお菓子、エビチップスやマンゴープリン、ドライマンゴー、チョコレート菓子等を。差し入れでは、飴や団子をいただきました。本作品でも探偵が菓子を食べる姿が見られなかったので、ホストの菓子選びは、お茶を濁すようなセレクトになってしまいました。次回の読書会では探偵が菓子を食べている場面に出会えることを祈念したいと思います。

閑話休題。

さて、自己紹介を終えて読書会は本書の内容へと。参加者の「シャム双子の秘密」感想は以下のようなものでした。

「謎解きのために設定されて、謎解きをしたという印象。けっこうあっさり読めた」

「瀕死の〇〇〇に時間をかけて殺害する必要はなかったのではないか。推理も迷走していたためか、クイーン作品好きだと自覚していたのに、その気持ちが揺らぎはじめた…」

「おどろおどろしさがカーを意識しているのかと思った。冒険小説を読み終えたような感動を覚えた」

「好きな要素がてんこ盛りで、おいしい幕の内弁当を食べたような気分。山火事の中で殺人があり、その中でも殺人について考えようとすることに、人間の良心を感じた」

「サルトルの戯曲『アルトナの幽閉者』で『かに、かに、かに』と登場人物が叫んでいる場面を思い出した。推理小説として凄いと感じる部分はなかった。『ギリシャ』での失敗が活かされていないのでは。名探偵らしからぬ行動が多かった」

「火事なのに食べ物やガソリンに対する緊迫感が足りない。警視の罪悪感も足りないのでは。飛行機から助けられないという紙が落とされたのがショックだった。クローズドサークルの原型となった作品であることには感慨を覚えた」

「山火事なのに家に入って安心しているのが不思議。火事を忘れて過ごしているのが信じられない。ヨーデルでしらせあおうとしていたが、私にはできない。やっているところを見たかった」(創元推理文庫 井上勇訳では「ヨーデル」ではなく「大きな声」と訳されていました。越前先生、なぜヨーデルと訳したのでしょうか? お教えいただければ幸甚であります)

「いろいろな要素が盛り込まれすぎていて、山火事のことだけが残ってしまった。召使が車からガソリンを出していて、燃えるだろうと思った。山火事に対する行動が、大丈夫なの?」

「クローズドサークルに目がないので、私のベスト5に入る作品! 法月綸太郎作品に山火事の原因がSF的解釈で書かれていた。4章の引用はミスリードとわかった」

「翻訳ミステリシンジケート内で突っ込みどころの部分を読んでいて、読んでみたら山火事に対する突っ込みどころがたくさんあることが明らかになった。乱歩の『孤島の鬼』を連想した。警視が妻の指輪を盗まれて怒ったところがかわいかった」

「筋書きは評価できるが、エラリーが推理らしい推理はしていなかったのでは。『指輪を盗んだ人が犯人』という場面で真犯人をかばおうとする人がいて出ていったら、その人が犯人になってしまう。つまり、犯人は誰でもいいということになるのではないか。実際、エラリーが、犯人が逃げて行って『そのことは、もう忘れましょう。これからどうするか?』と言った場面が面白く思えた。そして、本当に犯人は誰でもよかったのだなと思った。自白してくれてよかったという終わり方と感じた」

「他の可能性はあり得ないという証明が、ないところに疑問を感じた。指輪を盗んだ犯人が殺人犯で山火事という異常な状況設定も『指輪』を真犯人に取らせて解決を導くことをすくうためだったのではないか。第二の被害者の死は、クイーン親子が責任追及で裁判にかけられるような状況だったのではないか。シャム双子を登場させたのは、トランプのダイイングメッセージのためだけに登場させたように思えた」

推理については、山火事のインパクトを超えられるようなロジックの煌めきが感じられず、ヨーデルと救出されそうで、されない場面での驚愕の方が記憶に残ったという感想が多いようでしたが、本作品の要素から、現代本格ミステリの傑作が生まれたとの感想も多かったように思われます。

第三幕

「シャム双子の秘密」について一度語り終えた時点で、予定時間の半分を過ぎてしまい、「ニッポン硬貨の謎」について感想発表をしていただきました。

「こちらの方が楽しく読めて、面白かった。引用文については成程と思った」

「注釈が多くて、読みづらく、中身があまり入ってこなかった」

「クイーンを読んでいないと楽しめないのでは。探偵小説の中の名探偵とはなんぞや?と考えさせられた」

「世間を騒がせている大事件と名探偵という設定が大好きなので楽しく読めた。後期クイーンを読むともっと楽しめる」

「いつもの北村作品とは違っている。海外から見た日本の書き方がよかった」

「クイーンが大好きで書いたのが、すごく伝わってきた。注釈の多さが訳者の顔が見えすぎる感じがした」

「私が自分の神様に会えるなら、仕事は全部休みます。解決の論理は幻想的すぎるかな」

「北村作品はアンソロジーを好んで読んでいます。海外の人が書いたものを日本人が訳した感じが出ていて大変上手なパスティーシュと思った。英語の俳句は三行詩であればいいので、その辺も上手いと思った」

「注釈からもクイーンに対する情熱を感じた。ベッキーさんシリーズが好きで、その流暢な文章との違いに驚いた」

「注釈には、疲れた。傍に書いてある脚注の方が好き。解決はこじつけ感が強いように思えて、少し理解できなかった。クイーンは好きだけれど、これは…」

「北村作品は結構好きで読んでいる。この作品は、強制的に自分を納得させた」

「『シャム双子』の新解釈が評価された作品だと思う。クイーンの登場人物の書き方の失敗もわかる作品。クイーン生誕100年に合わさった良い企画だったと思う」

「作者が一番楽しんでいる作品だが、それに同調できなかった。『シャム双子の秘密論』での『読者への挑戦』を入れると、それまでに出た解決がすべて偽りであることを宣言する。偽の手掛かりによる推理がたまたま真犯人を当ててしまったから『読者への挑戦』を入れなかったという考えには納得できない。正しい手掛かりと推理による解明がされればよいのだから、その状況が作られた時点で『読者への挑戦』を入れることができたのではないか。『シャム双子の秘密』は論理的な解決とはいえない結末だったから挑戦状は入れられなかったということなのではないか。第四章の引用文があるから『読者への挑戦』を入れなかったという考えにも納得ができない。小説とミステリを対比させているところがあって、北村氏はミステリよりの考えなのはわかるが、ミステリの純粋さを突き詰めたら、ゲームとかパズルでしかないとしたら共感はできない」

作者が楽しんで書いていることと、海外から見た日本の翻訳物として上手く表現されていること、クイーン作品を読み込んでいないと楽しめないのでは、との考えが多かったと思われます。また、『読者への挑戦』と引用文については慧眼なご意見をいただくことができました。

今回の読書会は、この時点で時間がいっぱいとなってしまいました。ホストの時間設定の甘さから「あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞は?」を参加者の方からお聞きすることはできませんでした。

ホストは、思いもよらなかった意見や考えを聞くことができ、読書会の良さを、またまた再度実感することができました。

第四幕

今回も参加者の方々にアンケートのご協力を13名の方にいただきました。ご協力ありがとうございました。(それぞれ10点満点です)

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
参加者 6 10 6 9 9 7
参加者 6 8 6 6 7 8
参加者 7 5 4 5 6 5
参加者 5 5 6 8 5 9
参加者 5 5 3 5 5 4
参加者 8 9 8 7 7 10
参加者 7 8 6 6 7 6
参加者 6 7 3 8 6 6
参加者 5 7 5 5 6 5
参加者 7 8 5 7 4 8
参加者 7 8 6 7 6 7
EQⅢ※ 10 9 8 8 9 10
ホスト 10 9 10 8 9 10

※飯城勇三氏のことです。

 

せんだい探偵小説お茶会アンケートの平均点

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
平均点 6.8 7.5 5.8 6.8 6.6 7.3

 

昨年の「スペイン岬の秘密」、せんだい探偵小説お茶会アンケートの平均点

プロット サスペンス 解決 文章 論理性 感動・余韻
平均点 6.4 5.9 7.6 6.3 7.3 6.2

 

「シャム双子の秘密」と「スペイン岬の秘密」の平均点を比較してみると、ほぼ同じぐらいの点数となりました。ただし厳密に計算をしますと(平均点を足して6で割ってみました)、「シャム双子の秘密」の方が少し上になっていました。皆様いろいろとお話をしていましたが、楽しんでくれたのかなとホストは思っております。

読書会終了後には、T氏からの古本プレゼントコーナーが開かれ、参加者全員が鼻息を荒くして参加し、素晴らしい古本をいただくことができました。T氏へ、この場も借りて御礼を申し上げたいと思います。

懇親会へ向かう際には、ホストが山火事の中のエラリーのように迷いながらも会場につくことができました。そこはアローヘッド館ではありませんでしたが、ビールとおいしいおつまみをいただきながら、「シャム」と「ニッポン」やミステリの話題が続き、楽しく時を過ごすことができました。

終幕

ホストのあれこれで語る前に、懇親会でも『読者への挑戦』について話題となりました。ホスト自身も『読者への挑戦』を入れることができたのではないかと考えていたので、「シャム双子の秘密論」以外の理由で入れなかったとしたら、読書会でご意見いただいた、論理的とはいえない解決の仕方だったからではないか、というお考えに傾きかけていました。ですが、なんとなく引っかかっているところがあったので、その後、まず再読してみようと思い、再読してみました。

読書会で、いろいろなご意見をいただきましたが、最後まで楽しく読了することができました。そして、「他の可能性はあり得ないという証明がされていない」というご意見をいただいていましたが、終盤の推理に突っ込みはいれず、山火事に襲われ、パニック状態の状況での推理をつぐむ手順に、またまた感心させられていました。

読了後、『読者への挑戦』が入らなかった理由に、新しい考えが二つ浮かんできました。

まず、一つ目は、ミステリとして反則なのかもしれませんが、探偵の失敗を予感させるため、山火事から助かるけど真犯人を特定できなかった。犯人が指摘できないミステリという、終幕にミスリードするためだったのではないかという考え。

二つ目は、「『読者への挑戦』を入れると、それまでに出た解決がすべて偽りであることを宣言する」と変わらないじゃないかと言われるかもしれませんが、『読者への挑戦』を入れないことで、読者に「これまでに語られた推理や自白の中に真相があるかもしれないよ」と、ヒントのようなものとして、そうしたのではないかという考えです。

もう一つは、読書会前に考えていたことで、最後のホストのつぶやきで、出てきますので、そちらを読んでいただければと思います。

読書会のおかげで、再読して、ここまで考える機会を得たことは幸甚でありました!

参加された方々の正直なお話を聞けて、本当に良かったです!! これだけ語り合えるエラリー・クイーンの作品は、ミステリの特異点だったと、改めて感じることができました。次回のクイーン祭りもお楽しみに!!!

スペシャルボーナス

飯城勇三氏からのアンケート回答

01.「シャム双子の秘密」を読んだ感想

初読時は、やはり、「山火事で全員に――犯人にも探偵にも――死が迫る」という設定に驚いた。

その後、ミステリ部分もよくできているのに気づいた。特に、ダイイング・メッセージを利用して犯人の意外性を高めている点がお見事。このあたりはクイーンFC会誌に書いたが、会員以外は角川文庫の新訳版『シャム双子の秘密』を読んでほしい。

02.「シャム双子の秘密」を以下の点から評価してください。(各項目10点満点。10点の基準はこれまで読んで来たミステリ作品で、10点と思えるものと比較して点数をつけてください。)

プロット=(10)、サスペンス=(9)、解決=(8)、文章=(8)、パズル性(論理性)=(9)、感動・余韻=(10)

03.あなたがもっとも好きなキャラクターと場面と台詞

キャラクター=(双子)。理由=その“けなげさ”に。前年のクイーン作品に登場する子供とはえらい違いだ。

場面=(角川新訳版304p)ページの(父親が死んだと勘違いしたエラリーの反応)。理由(親父が死んだと思った自分が泣いているのに驚くって……)。

台詞=(角川新訳版379p)ページの(「赦しを与えるは――神なり」)。理由(溝掘りで疲れ切ったエラリーが、水を与えてくれた双子に向かって言うセリフ。この時点では、エラリーは双子が殺人犯だと確信している。しかし、双子はもちろん、自分たちが犯人ではないことを知っている。それを頭に入れて読むと、何とも……)。

04.「ニッボン硬貨の謎」を読了後、本書「シャム双子の秘密」についてどう思いますか。

・興味あり

興味深かったので、

(1)EQFCの会誌で特集して、

(2)アメリカのF・M・ネヴィンズとE・D・ホックに「この(北村薫さんの)説をどう思うか?」と聞いてみた。ホックの回答は角川文庫の新訳版『シャム双子の秘密』に再掲。

ホストのあれこれ

01.「シャム双子の秘密」を読んだ感想

○今回の読書会に向けて6回目読了。前回の「スペイン」と同じ旅先の事件ではありますが、物語の起伏(ドラマティックな展開に翻弄されること)を感じるとともに、クローズドサークルで館ものであったため、「黒死館殺人事件」好きの私にとってはたまらない設定でありました。また、国名シリーズの中でも一番サスペンス色が強く感じられた作品であるとも思いました。

クイーンがミステリの先行作品をもとに色々な試みを行い、作品を作り上げていることは、よく語られています。本作品もヴァン・ダインの「カブト虫殺人事件」を意識して作られたのではと「ニッポン硬貨の謎」でも語られていて、私も同じように考えています。本作の魅力は、飯城勇三氏(以後、飯城さんで統一します)の解説で語られる「探偵の推理」と「犯人の計画」によるせめぎあいによって「意外な犯人」が示されることが本作の一番の魅力であることは、まさに、その通りだと思います。そして、「ニッポン硬貨の謎」で語られる「シャム双子論」(読者への挑戦の削除理由と描表具、円環法)も、魅力の骨子であると思います(「ニッポン硬貨の謎」を読むまで、挑戦と描表具に私は気づきませんでした)。ただ、円環法ではなく、「シャム双子の秘密」は、私が考えるミステリのジレンマに対する一つの解答なのではないだろうかと、初読時に漠然と考えていました。

現代ではタブレットが一つの解決方法になると思われますが、30年以上前の初読時には思いもしませんでした。その私の考えるミステリのジレンマとは、「書物という形はミステリにとって、真相は残りのページにあるもの」という考えでした。納得のいく推理や意外な推理が書かれていても、残りのページがまだあることを知ると、「まだ真相ではない」「どんでん返しがあるぞ」「サプライズがあるぞ」と思わされます。「シャム双子の秘密」は、私が考えるミステリのジレンマ、「書物という形はミステリにとって、真相は残りのページにあるもの」を解決する一方法を、新発明した作品であったのではないかと考えています。そして『読者への挑戦』を入れなかった理由の一つは、そのジレンマを解消するため、「もしかして、続きの本がでるかもよ」とミスリードするためだったのかもしれないとも考えられます。(これまでに、他の作品で語られていたら済みません。私の勉強不足です)。

推理については、「ニッポン硬貨の謎」の法月綸太郎氏の解説(P329)で『犯行動機と犯人を限定するための決め手は、あっけに取られるぐらい世俗的なもので、要するに、「地上の論理」と「天上の論理」が、ひとりの犯人の中に平然と同居する不思議な作品なのである。言い換えれば「意外な犯人」という効果に向けられたテクニカルな演出そのものが、「地上の論理」と「天上の論理」の接点になっている(略)』と語られていることは、短い文章ではありますが「シャム双子の秘密」を的確に表した言葉であると私は思います。「スペードの6」「ダイヤのJ」から展開される推理がまさに「地上の論理」と「天上の論理」で、そこに犯人の精神(犯人の計画)がねじれを生み出して、ジレンマを解決しながら意外な犯人を提示していったのだと思います。

「シャム双子の秘密」は国名シリーズの中で、題名とギミック(小道具の一つに「シャム双子」がそのまま出ている)、謎がマッチしている点で、国名シリーズの中でも特異な位置にあると思います。

解説で飯城さんが触れていた、もう一つの「探偵の死」とは、「探偵が死を意識した状況で如何に行動するか」という問いかけと私はとらえました。その回答が、本書のエラリーの姿であったと思います。その気高さは、エラリーが語るP409終わりの3行目からはじまる言葉に感じられました。そして「人間とは何者なのか?」、また考えさせられるものでもありました。

「黒死館殺人事件」(1935)との関連は、飯城さんが解説の中でも触れていました。他にも館に入って不気味な油彩画が飾ってあることや実験室の様子(動物のシャム双子の実験)、障害のある登場人物、探偵の推理の迷走から、小栗がクイーン作品を原書で読んでいた可能性は高かったと考えています(ヴァン・ダインは読んでいたことを作品の中で語ってはいます)。クイーンと小栗には奇妙で暗号のような結びつきがあるように私は妄想しています。ちなみに江戸川乱歩の「孤島の鬼」にもシャム双生児らしき人物が出てきますが、こちらは1925年に発表されています。

02.「ニッポン硬貨の謎」についての感想

読書会に向けて四回目の読了となりました。先にも述べましたが、初読時に「シャム双子論」を読んでシャムの仕掛けを知ることができました。クイーンの凄さと、その意図に気付いた北村薫氏の慧眼に感動しました。ただ、「天上の論理」については、こじつけめいているなと思いつつも、「五十円玉二十枚の謎」の解答の中でもスケールの大きさに作家はこれぐらい考えられる才能がないといけないんだと感心したのを覚えています。今回、再読をしていくうちに、こじつけめいているなと思っていたものが、「いや、これが正解なのでは」と思うようになり、「推理は意外なほど面白い! 思考がジャンプする快感!!」と思うようになっていきました。(小栗虫太郎の名探偵、法水麟太郎の推理は意外過ぎる推理で、天上の論理ととらえることもできます)

オグリものから小栗虫太郎作品について、ミステリが先人から連綿と受け継がれていく様、そして、後期エラリーの経験を、日本で如何に昇華させるかを提示した大団円。これらを愛情あふれる形で発表した本作は、直木賞作家、北村薫氏作品の白眉と言っても過言ではないと思います。

03.ホストの「シャム双子の秘密」の点数。

プロット=(10)、サスペンス=(9)、解決=(10)、文章=(8)、パズル性(論理性)=(9)、感動・余韻=(10)「ミステリで、死を意識する直前をミステリ(謎解き)で救おうとする物語と探偵の姿に」

04.ホストの「ニッポン硬貨の謎」を読了後、「シャム双子の秘密」についてどう思いますか?

もの凄く興味があります!!! 「シャム双子の秘密」に隠された意図を繙くため、そしてエラリーを愛するがゆえに、大団円を迎えさせる長編を書いてしまうなんて! 「愛、愛、愛。それこそが天才の神髄なんだ」とモーツァルトが語った言葉を思い出さずには、いられませんでした(尊貴な学位も想像力も、その両方を足したものを北村薫氏は持っているのだと思いますが、それ以上に愛があったということなのだと思います)

書いた北村薫氏も凄いのですが、それを書かせたクイーンは、もっと凄い!!! 何度も作品の中に出できた『神』!! やはり『神』なのでしょう。

05.あなたがもっとも好きな(印象深い)キャラクターと場面と台詞

キャラ:エラリー

P409終わり3行目からはじまる言葉がなければリチャード父さんでした。

場面=解決編はもちろんなのですが、当たり前な感じがするので、他の場面を述べたいと思います。

P55終わり7行目からP56、4行目の警視の目撃したものの説明をP81からP85で語られる場面。シャム双子を目撃して大きな蟹といった台詞は、初読時に鳥肌が立ち興奮したのを今でも覚えています。そして、再読の度にそのことを思い出してにやりとしてしまいます。

それともう一つ、P304~305のエラリーの父親に対する愛情を感じられる場面。涙を見せ、生きていると知って歓喜する場面も大好きです。

台詞=P53「殺人にはもってこいの場所だな。風さえもはまり役を演じている! あの妙なうなりを聞くといい。今夜はバンシーたちが総勢でおでましだ」

無神経な不安をあおるような台詞。後のミステリやホラーにどれだけの影響を与えたかはかりしれません。エラリーを嫌う方々の理由は、その無神経な発言か理由の一つなのでしょうが、私は、正直者だからととらえています。そんな正直なエラリーに好感が持てます。

○戯言

またまたデヴィッド・リンチねたであります。リンチがテレビドラマ「オン・ジ・エアー」(3話で放送打ち切り。4~7話まではビデオとLDでソフト化)の中で、「ハリーアップツインズ」というシャム双子役の二人の役者を登場させています。そして、昨年WOWOWで放送されたツイン・ピークスTheReturnでは、アローヘッド通りという住所がでてきました。(トロントに実際にある地名のようです。国営公園もあるようです。クイーン親子はカナダ帰りだったからアローヘッド館へ行ったのでしょうか?)

ツイン・ピークスでは、クイーンとの共通点が多く語られている中、他のドラマでもクイーンの影響を受けた様子が見られるということは、リンチはクイーン作品をかなり読んでいたのではないかと、またまた妄想してしまいます。アメリカのクイーンファンの方が訊いてくれないかしらと思うこの頃であります。

(参考文献)

「エラリー・クイーン論」飯城勇三著(論創社)
「エラリー・クイーンの騎士たち―横溝正史から新本格作家まで」飯城勇三著(論創社)
「エラリー・クイーン推理の芸術」フランシス・M・ネヴィンズ著 飯城勇三訳(国書刊行会)
「EQFC会誌 Queendom」

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41st event

第41回 せんだい探偵小説お茶会主催

「魍魎の匣」読書会

せんだい探偵小説お茶会では、9月8日(土)に第41回読書会を開催します。今回の課題本は京極夏彦「魍魎の匣」です。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


昨年から始まった年1回の京極夏彦読書会。第2回目がやって来ました。

「箱を持ち歩く幽霊」「穢れ封じ御筥様」「美馬坂近代医学研究所」

3つの話が折り重なる箱、函、匣、筺、そして筥の物語をどうぞお楽しみください。


■日程 :2018年9月8日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場 : 戦災復興記念館 / 第3和室
(仙台市青葉区大町2-12-1 戦災復興記念館3F TEL:022-263-6931)

■参加費 :一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物 :京極夏彦 『魍魎の匣』 講談社

※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はございません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

 

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40th event

第40回 せんだい探偵小説お茶会主催

「シャム双子の秘密」&「ニッポン硬貨の謎」読書会

せんだい探偵小説お茶会では、6月30日(土)に第40回読書会を開催します。今回の課題本はエラリー・クイーン「シャム双子の秘密」と北村薫「ニッポン硬貨の謎」の2冊です。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


今年の天気もどうなっているのかしら?

暑い日、寒い日、地球のこれからに漠然とした不安を感じるそんな日々を、ミステリに夢中になって払拭してみては如何でしょうか?
そこで、わたくしクイーンファンは、皆様に読んでいただいて大変お得な課題書を第40回読書会に提供いたしたいと思います。
お待たせしました! 今年もやってまいりました。エラリー・クイーン祭り!

今回の謎の物語は,夏を迎えるにあたってミステリだけじゃものたりず、暑い夏気分を味わいたい。そんな方に本作品はぴったりてす!
また、今回はクイーン作品とも密接に関わってくる別の作品も併せて、2冊での読書会を開催します。
ページ数に物足りなさを感じていた方々には満足いただけるボリューム! 質、量ともに満足すること間違いありません!

どんな話かというと…。
1冊目はエラリー・クイーンの「シャム双子の秘密」。
クイーン父子が山火事に追われて逃げ込んだ医学博士の館。そこには手術のためにシャム双子が滞在していた。やがて起こる殺人事件! 被害者の手にはスペードの6のカードが握られていた…。
クイーン初のクローズドサークル館もの! 失われた代名詞! そして、昨年ミステリ業界を賑わせた話題作の原型となる作品!

2冊目は北村薫の「ニッポン硬貨の謎」。
1977年、エラリー・クイーンが出版社の招きで来日。その際に発生した幼児連続誘拐事件と、ガイドから聞いた五十円玉二十枚の謎の関連をエラリーは指摘しはじめる…。
北村薫が敬愛してやまない本格の巨匠クイーンの遺稿を翻訳したという体裁で「シャム双子の謎」論も入れ込んで描かれる華麗なパスティーシュ!

如何です? 2冊とも,手に取って読みたくなりますよね!
今回の課題本は本格ミステリの連峰、国名シリーズの1冊(国名シリーズ7作目),「シャム双子の秘密」 (エラリー・クイーン著 越前敏弥・北田絵里子 訳 角川文庫)と、本格ミステリとクイーン、物語に対する愛の伝道師、北村薫の「ニッポン硬貨の謎(エラリー・クイーン最後の事件)」(創元推理文庫)

2冊ともミステリ作品の可能性を追求した作品であり、本格ミステリの最高峰であることは間違いないと考えています。いや、間違いないのです!

なぜ,ホストはそう考えているのかを、ここで語るのは野暮というもの。ホストが何を語ろうとしているのかと思った方は,手にとって読んでいただき,本読書会に参加していただいて,初夏のエラリー・クイーン祭りを一緒に楽しんでいただければと思います。

是非、本読書会に参加してミステリの深淵に触れてみませんか。
奮っての御参加、心よりお待ちしております。


■日程:2018年6月30日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場: 生涯学習支援センター(旧:中央 / 和室)
(宮城野区榴岡4丁目1番8号)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:エラリー・クイーン 著『シャム双子の秘密』( 越前敏弥・北田絵里子 訳 角川文庫)北村薫 著『ニッポン硬貨の謎(エラリー・クイーン最後の事件)』(創元推理文庫)の2冊
※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はございません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。
これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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39th event

第39回 せんだい探偵小説お茶会主催

陳浩基『13・67』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、5月12日(土)に第39回読書会を開催します。今回の課題本は陳浩基『13・67』です。

※定員に達しましたので、申込み受付を終了とさせていただきます。

まずはホストからの紹介文をどうぞ。


 

みなさんは翻訳ミステリと言うとどこの国を思い浮かべますか?
ダントツはイギリス、ついでアメリカ、最近は北欧も人気ですね。
でも昨年末ある1冊と出会ったホストは「華文! 時代の最先端は華文!!」と声を大にして言いたいです。
その本に出会ってからホストは華文ミステリを読み漁りましたが、やはり出会いの1冊となった『13・67/著 陳浩基(ちんこうき サイモン・チェン)/訳 天野健太郎』は頭2つ、3つ飛び抜けて面白いです。
近すぎる故にか、あまり知られていない香港の文化、歴史を感じるミステリをお楽しみください。


 

■日程 :2018年5月12日 15時30分~17時30分(途中退室可)

■会場 : 戦災復興記念館 / 第1和室
(仙台市青葉区大町2-12-1 戦災復興記念館3F TEL:022-263-6931)

■参加費 :一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物 :陳浩基  『13・67』 天野健太郎訳 文藝春秋

※定員は先着順で15名とさせていただきます。
※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。会場内に飲み物の準備はございません。

■申し込み :氏名・連絡先を明記のうえ、 sendai.mystery@gmail.com までご連絡ください。
※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から受付完了のお知らせメールを返信いたします。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

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