せんだい探偵小説お茶会

Sendai Reading-Party of Mystery

12th Report

第12回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

イーデン・フィルポッツ『赤毛のレドメイン家』&江戸川乱歩『緑衣の鬼』

読書会レポート

 

執筆者:蒔野正徳

3月23日に第12回となるせんだい探偵小説お茶会を開催しました。

今回の課題本は、イーデン・フィルポッツ『赤毛のレドメイン家』と江戸川乱歩『緑衣の鬼』のダブル課題本です。
今年のせんだい探偵小説お茶会のテーマは「色」ということで、『赤毛のレドメイン家』の「赤」と『緑衣の鬼』の「緑」は将来を見据えた乱歩先生が『緑衣の鬼』というタイトルをつけてくれたのでは?と錯覚してしまうぐらいピッタリ。
・・・『緑衣の鬼』は『赤毛のレドメイン家』に感銘を受けた江戸川乱歩が『赤毛のレドメイン家』を翻案して書かれた作品なんです。

今回の読書会は過去最多タイとなる10名での開催となり仙台はもとより、福島、山形からも参加頂きました。

さて、皆さんの自己紹介も終わったところで、まずは『赤毛のレドメイン家』の感想へ。
「マーク・ブレンドンがとにかく嫌い。途中で死んでくれないかと思った」
という過激な意見がいきなり飛び出て、参加者を唖然とさせた。
しかし、マーク・ブレンドンが嫌い、という意見は他の参加者からも寄せられたが、男性と女性とで意見が異なるようで、女性陣はマーク・ブレンドンを嫌い、男性陣は逆に「共感できる」というように擁護にまわるという一幕も。
他にも
・役立たず
・ピーター・ガンズの邪魔をしている
・優秀な探偵と紹介されているのに、ダメダメ
という意見が寄せられ、聞いているうちにマーク・ブレンドンに同情したくなってきました。。。

他の登場人物への感想も寄せられましたが、ネタバレが含まれてしまうため、自粛。

一通り感想が終わったところで、ホストからイーデン・フィルポッツの作品リストの紹介(出典:本棚の中の骸骨)、ボルヘスによる最良と思う百の作品の中にも『赤毛のレドメイン家』が含まれているということが紹介されました。(ミステリー作品としては、コリンズの『月長石』、チェスタトンの『青い十字架』、ポーの『短編小説集』等が選出)
その後、『テンプラー家の惨劇』巻末の「フィルポッツ問答」や江戸川乱歩の『鬼の言葉』収録の「赤毛のレドメイン一家」が紹介(後者はほぼ全編を朗読)されました。

そして、ダートムア小説と称される田園小説で人気を博した作者ということで、濃厚な色彩表現、細かな情景描写が印象的であり、「赤プラスアルファ」として色シリーズに相応しい作品ではないかとまとめられました。

作品全体としては概ね好評で、「むかし読んで犯人は知っていたが再読しても面白かった」、「むかし読んだのに犯人は忘れていて改めて驚いた」、「初めて読んだが古い作品にしては読みやすい」、「犯人像が強烈で魅力的」、「情景描写がイメージ鮮やか」といった声が聞かれました。

一通り『赤毛のレドメイン家』の議論が落ち着いたところで、次なる課題本『緑衣の鬼』の感想へ。
影や消失トリックを盛り込んだりということで、やりすぎという声がちらほら。
「情景描写や恋愛を乱歩が書けなかったので、そういった要素を替わりに詰め込んだのでは?」
「月刊誌の連載だったため、毎月何らかの山場を作る必要があったからでは?」
と、様々な意見(憶測)が交わされました。
また、「なぜ、緑にこだわったのか?」という意見も出ましたが、乱歩が妻に「緑館」という下宿を営ませていたということもあり、緑という色にこだわりがあったのではないか、といった憶測も。

貸金庫のトリックや様々な矛盾はあれど、結局は「乱歩だから」の一言で全ての矛盾が片付けられることに。
そして、最終的には一人の参加者から「探偵はのりすぎ、犯人はやりすぎ」という名言が生まれ、閉会となりました。

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月替わりで、国内ミステリーと翻訳ミステリーを交互に課題本に掲げている当読書会。
次回は、杉江松恋氏が海外ミステリーマストリード100でも紹介されているジル・チャーチル『ゴミと罰』を5月に予定しています。
近々発表される告知にご期待ください。


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