せんだい探偵小説お茶会

Sendai Reading-Party of Mystery

16th Report

第16回 せんだい探偵小説お茶会主催

白井智之『人間の顔は食べづらい』読書会レポート

執筆者:蒔野正徳

1月25日に第16回となるせんだい探偵小説お茶会を開催しました。

第1回読書会(当会では、第0回と呼称していますが。)が2013年1月13日に開催されましたが、それから早2年、2年目を迎えることが出来ました。
記念すべき、2周年目の作品として取り上げたのが、当読書会の発起人であり、初代世話人である白井智之さんのデビュー作です。

ミステリーを読むこともされど、新人賞に応募し、将来はミステリー作家に、と考えられている方が、当読書会に何名か所属しておりますが、こんなにも早く当読書会発のミステリー作家が生まれるとは思っておりませんでした。

さて、その白井さんのデビュー作ですが、第34回横溝正史ミステリー大賞の最終選考に残り、「横溝正史ミステリー大賞史上最大の問題作」と評された作品でもあり、賞を与えるかどうか最後まで審査員の間で評価が分かれたようです。
(結局は、賞を逃してしまいましたが。)

というわけで、そんな作品を取り上げた読書会。
どんな問題児が参加するのか?
どんな罵詈雑言が飛び交うのか?
作者を目の前に、こき下ろされてしまうのか?
という不安を世話人は抱きつつ開催されたのでした。

今回は宮城、山形、福島、千葉(作者)の各県から合計12名が集まりました。
内、初参加が2名(1名は福島読書会のメンバー)。

さてさて、メンバーが開場入りしてまず一言。
「何ここ!?」
メンバーがそう言われるのももっとも。
今までは、研修室や和室で開催していた当読書会。
前回、越前先生がいらしたときですら、和室だというのに、今回用意した部屋は特別会議室。
よくTVドラマ等で取締役会が行われるような部屋を想像してもらうとよいかと。
あれよりはちょっとイスの数が少ないぐらいの、あんな感じの部屋です。
前々から一度使ってみたいと思ってた場所で、今回はたまたま予約がとれたので使ってみました。

そんな、重役になった気分でイスにふんぞり返りつつ、読書会が開始されました。

今回も参加者から色々なお土産を頂きました。
福島読書会からは、二本松少年隊士物語「霞の天地」のイラストが入ったお菓子と人間の顔は食べづらいが、ひよこの顔は食べられる、ということで東京銘菓「ひよこ」を頂きました。
対して、世話人が用意したのが「グミマロ」。マシュマロをグミでコーティングしたお菓子で、課題図書中に出てくるクローン人間の脂肪に近い感触を味わえるのではないかと。

続いて自己紹介ということで、各々の好きな小説・作家を述べてもらうとともに、今回の課題図書にあやかって、「人間の顔は食べづらい、ということなので、食べづらい部位・食べてみたい部位」を挙げてもらいました。
「食べづらい部位は特になし。特に食べたい部位もない」
「お尻かなあ」
「今日は体調的に食べたくない。普段だったら・・・どこでも?」
「女性のいる前では言いにくいが・・・女体!」
「レバー」
「人は食えないな、と。」(一筋縄ではいかない、という意味で)
「太ももなんて、おいしそうかな」
「舌(タン)」
「どんな動物もホルモンはおいしいので、人間のホルモンもおいしいのでは」
「ほっぺたの肉が柔らかく食べてみたいかも」
「ハンニバルから脳みそなんてどうでしょう」
「腕の肉」
・・・全員のアンケート結果を見ると全身の部位がくまなく網羅されてるようで、このメンバーであれば部位を取り合うこともなく、平らげることも出来てしまうようです。
まあ・・・食べませんけどね!
しかし、課題図書中では、捨てられる部位である頭部の部位を選択した方が3名もいました。動機として頭が食べてみたかったから、というのも実は有力な候補だったのでは?

続いて、皆さんの感想です。
「好きな作品。最後のエピローグはニヤニヤしながら某喫茶店で読んでいたので、周囲の人に変な人とみられたのでは。。。」
「ダメかも・・・と思いつつ読んでいくうちにはまっていった。チャー坊がお気に入り」
「ミステリーとして面白く読めた」
「すごくトリッキーでSF的な作品。最後の『あ、俺、○○○○っす』的な最後が良かった」
(○○○○ネタバレなため、伏字)
「嫁にも読ませたが、タバコのシーンでピーンときたらしいが、自分は全く気づかず、気持ちよくだまされた。再読した際も、様々な伏線が張り巡らせていることに気付いたが、結局、騙されてしまった」
「最近読んでいる本としてタイトルを友人に告げたところ、引かれた。多重解決の部分が以前の課題本(『毒入りチョコレート事件』)が連想された」
「映画化は不可能な作品」
「多重推理が面白く読めた」
「由島の扱いが良く言えばエキセントリック、悪く言えば雑。推理合戦が面白く読めた。様々な伏線が張り巡らされているが、それを気にせず読ませるリーダビリティの高い作品」
「クローンをこのような使い方をした作品というのは初めてではないかと思う」

いつもは否定的な感想が出るのに、今回に限っては参加者全員が絶賛。
作者が同席した効果か!?
いえいえ、作品が素晴らしいんです!!

と、感想の中で作者への質問がいくつか挙がったので、それも併せて紹介。

参加者「由島 美紀夫は三島 由紀夫のパロディか?だから、ハラワタ?」
作者「以前、別の作品で使用したキャラを使いまわしただけ」

参加者「横溝正史の作品には首なし死体が多く登場するが、それを狙って横溝正史ミステリ大賞に応募したのか?」
作者「特にそういった意識はなかった」

参加者「構想、執筆は2年ほど前とのことだが、その時はIPS細胞が騒がれていた時期だがそういった影響から作品が生まれたのか?」
作者「特に意識したわけではないが、そういったニュースに影響された部分もあるのかも」

参加者「クローンをこういう使い方をするというのは、どうやって生まれたアイディアなのか?」
作者「設定よりもトリックが先にあった。そのトリックを実現する方法を模索していた中でクローンという設定に行き当たった。後は、YouTubeでフォアグラの育て方を見て、これを人間でやったらおもしろいのでは、と考えた」

参加者「人(クローン)を食べる、という所から『人肉饅頭』という作品が思い起こされたが?」
作者「その作品は見たことがない。他の人からはSF映画『ソイレント・グリーン』を見たの?とは言われた」
参加者「藤子・F・不二雄の『ミノタウロスの皿』は?」
作者「それは読んだことがあるので、何らかの影響は受けたかも」

ここで、作者から読者への質問ということで、トリックに気付いた人は?との質問に対しては、11人中5人が途中で気付いたとのことで、約半数が気付いていたよう。
さすがは古今東西のミステリを読み尽くしたミステリ好きが集まる会。
・・・当然の事ながら世話人自身は最後まで気付かず、いつもどおり気持ちよく騙されました。

その後、作者から本作についての執筆秘話や出版に際しての裏話などを聞きましたが、オフレコということで、参加された方だけの秘密です。

最後に作者初のサイン会と称して、参加者全員が課題本にサインをもらって終了となりました。

※出版記念ということで、せんだい探偵小説お茶会からブックカバーをプレゼントさせて頂きました。

読書会終了後は、場所を移動してイタリアンレストラン?での懇親会。
懇親会には10人が参加し、あまり広くない店なので、ほぼ貸切状態。
お酒を飲みつつ、更に突っ込んだ質問をしてみたり、各自が今読んでいる本の紹介や人に勧めたい本(但し、参加者の誰も読んでいない本)を各々言い合ったりして楽しい時間を過ごしました。

白井さんの次回作(現在構想中)に期待して、本日の読書会は閉会となりました。

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月替わりで、国内ミステリーと翻訳ミステリーを交互に課題本に掲げている当読書会。
次回は、2月22日にガストン・ルルー「黄色い部屋の謎(秘密)」予定しています。
皆様の参加をお待ちしております。


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