せんだい探偵小説お茶会

Sendai Reading-Party of Mystery

月別: 2016年3月

25th event

第25回 せんだい探偵小説お茶会主催

(翻訳ミステリー大賞シンジケート後援)

カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』読書会

せんだい探偵小説お茶会では、4月16日(土)に第25回読書会を開催します。今回の課題本はカーター・ディクスンの「白い僧院の殺人」です。

今回は翻訳ミステリーが課題本となります。

参加条件などは全くございませんので、少しでも興味がございましたら、気軽にご参加いただけると嬉しいです。


白い僧院の殺人

この度4月の読書会にて、カーター・ディクスン著『白い僧院の殺人』を課題図書に選ばせていただきました。

昨年暮れの『ユダの窓』から間をおかずの、海外パート2連続・2度目のカー(ディクスン)作品となります。おお、なんだかカー陣営が巻き返して いるっぽい!

図らずも2作続けてディクスン名義のH・M卿シリーズとなりまして些かバラン スに難がある気もしますが(バンコランやフェル博士ファンの人すみません…)、そこはホストの偏愛故ということでご容赦頂きたく。

以下あらすじ。

ロンドン近郊の<白い僧院>と呼ばれる邸の別館で、ハリウット女優の死体が発 見された。他殺なのは明らかだったが、死体発見時別館の周囲は雪に覆われていたにも関わらず第一発見者以外の足跡はなく、その第一発見者 にもアリバイが確認される。犯人は如何にして現場を立ち去ったのか?不可解な謎に、陸軍省情報部部長ヘンリ・メリヴェール(H・M)卿が挑む。

“足跡のない殺人”!“雪の密室”!密室ファンなら誰もが聞いただけで心躍る これらのテーマを見事にものにした、古典的傑作です。後世に与えた影響は多大で、現代の日本に於いても法月綸太郎『雪密室』など、本歌取 りに挑んだ作品が数多く散見されるほど。江戸川乱歩が「カーが発明した不可能トリックのなかでも、最も優れたもの」と激賞した“密室の帝 王”の妙技を、是非ご堪能ください。

またカーと言えば密室トリックの分類を行った『密室講義』(『三つの棺』収 録)が有名ですが、本書にはそれと対を為すと言っても過言ではない、「犯人が密室を生成する理由」を(おそらく)初めて分類した『密室動 機講義』(私が勝手に命名)の一節が存在します。こちらもやはり必見です。

作中とは違って陽射しも和らぎすっかり雪溶けの季節を迎えた今日この頃ではあ りますが、それによって本作の魅力が些かなりとも溶解することはありません。人の世に文字が存在する限り、ヒマラヤ万年雪の如き気高く美 しいその真価は、いつまでも硬質の輝きを湛え続けることでしょう。

皆様の奮ってのご参加、お待ちしております。

■日程:2016年4月16日 16時30分~18時30分(途中退室可)

■会場:戦災復興記念館 4階第5会議室
(宮城県仙台市青葉 区大町2丁目12-1)

■参加費:一般 500円、学生 無料(会場費、諸経費等)

■持物:カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』

※各自で必要に応じて飲み物をご持参ください。(会場内に飲み物の準備はございません)

■申し込み:氏名・連絡先を明記のうえ、sendai.mystery@gmail.comまでご連絡いただくか、Twitterにて@sendaimysteryまでリプライまたはDMを送ってください。

※参加申し込み頂きました方へは、主催者側から参加可能可否の返信をさせて頂いております。

これまでの読書会でも、様々な年代・性別の方にご参加いただいております。ぜひ気軽にご参加ください。

また読書会終了後には懇親会を予定しておりますので、お時間のご都合がつく方は、こちらにもぜひご参加頂ければと思います。

24th report

第24回 せんだい探偵小説お茶会主催

白井智之『東京結合人間』

読書会レポート

執筆者:仙台のクイーンファン

2月20日に第24回目となるせんだい探偵小説お茶会を開催しました。
第1回読書会(当会では、第0回と呼称していますが。)が2013年1月13日に開催されましたが、それから3年目を迎えることが出来ました。

昨年、2周年目の作品として取り上げたのが当読書会の発起人であり、初代世話人である白井智之さんのデビュー作「人間の顔は食べづらい」。そして記念すべき3周年目の嚆矢も同じく白井智之さんの第2作「東京結合人間」となりました。
デビュー作は横溝正史ミステリー大賞史上最大の問題作と謂われ、本格ミステリ・ベスト10で21位の評価を受けましたが、本作品はデビュー作を凌駕する評価で、本格ミステリ・ベスト10で8位、このミステリーがすごい!で16位となりました。
東京に在住しランキング入りした作家さんが、仙台の読書会へ来ていただけるのだろうかと心細さを感じてはいましたが,白井さんに快諾していただき読書会の参加者は歓喜の声を上げることとなりました。

ただし,今回の作品はデビュー作以上に性と暴力のハードな描写が含まれています。読書会に参加される方は,どのような方達なのかと期待と不安がありました。

白井さんとお会いした際,読書会の参加者人数を知らせると「ほんのちょっとじゃなくて良かった」と話される姿は,「本当にこの好青年が教育委員会が毛嫌いしそうな作品を書いたのだろうか?」と作品とのギャップにミステリ作家の深淵さを感じさせられました。

読書会参加者3名は,白井さんと昼食もご一緒させていただきました。ミステリー文学館での企画展や視聴者参加型推理番組の話題で盛り上がり,4人で同じ親子丼を食しました。和やかに食している間、鶏のボンジリらしきものを口にしたとき、東京結合人間の冒頭を想像したのは私だけでしょうか?食事中にはもちろん口にすることができず,その後も口にできませんでした。その理由は………読書会参加者メンバーの構成にありました。

今回は東京(作者),福島、宮城から合計11名が参加。内、初参加が1名でした。急遽インフルエンザと仕事で参加できない方が2名出たので,全員参加であれば13名でした。仕事で参加できなかった方は懇親会の2次会から参加されました。

さて,親子丼のボンジリの件ですが,なぜ口に出さなかったかといえば,女性が7名という,女性がこれだけ多い会は初めてというバランスだったからであります。いくら鈍感力の優れたホストでも,躊躇したというわけです。が,読書会が開催されるとホストの想像を超える発言が次々と出てきたのでした。その件は各々の感想で…。

今回の会場は和室。メンバーが開場入りし障子を開けると、5m程先に隣家の壁が見えました。ここで密室殺人事件が起きた場合、人間ではその壁に跳び移るのは不可能。その状況を見てメンバーの思い浮かべたことは、『犯人は○○○○○○』だった、でしょう。

座卓を並べ、白井さんを上座にして読書会がスタート。
今回ホストが『東京結合人間』にちなんだお菓子として用意したものは「スティックケーキ」。結合から何か合わさったものが良いかと考えましたが,「スティックパン」が本作の中に出てきたので,わかりやすくインパクトが有り、食すれば結合人間の孤島での日々に思いを馳せるのではないかと考えたのでありました。

続いて自己紹介ということで、名前と共に今年最初に読んだ本を各々が発表。白井さんからは今年最初に読んだ本として飴村行「粘膜黙示録」、昨年の国内ミステリのベストとして門前典之「首無し男と踊る生首」と麻耶雄嵩「あぶない叔父さん」を挙げていただきました。

続いて、皆さんの感想です。
「オネストマンを作り上げたのはが凄い。謎解きも理解しやすかった。」
「刺激が強すぎるので、淡々と読むように心掛けた。二度読むことはないです。」
「とにかく、凄い作品!大絶賛」
「いきなり肛門が出てきたのでどうなる?と思いつつ文章の巧さに読まされた。孤島ものなので全滅するかと思ったがそうではなくて驚いた。」
(彼女も白井さんと昼食を共にしていました。親子丼を食べていたとき同じことを考えていたはず…。まさかストレートに言葉にするとは思いませんでした。閑話休題。)
「結合したら不倫はできない。純粋な世界、理想の世界なのではないか。」
「オネストマンの証明は頭の体操をしているみたいで楽しめた。」
「図書館で仕事をしていて、本作を借りた人が怒って返してきた」
「虫が嫌い!名前を出すのもイヤ(アカゴダニ)。ジョイントマンが最後は出てくると思っていたので出なかったのは残念だった。」
「読んでいる間、翻弄されっぱなしでした。」
「前半と後半に分けてエピローグへと持っていく構成が素晴らしい。真相の推理だけではなく、他の推理も十分に意外な推理で素晴らしい。」

必ずといっていいほど否定的な感想が出る本読書会では、今回の「東京結合人間」も「人間の顔は食べづらい」と同様に参加者全員が絶賛。作者の白井さんが同席した効果ではなく、今回も作品の力であります!!

作者への質問がいくつか挙がったので、それも併せて紹介します。
白井さんは「お手柔らかに。優しい気持ちでお願いします。」と真摯に質問に答えていただきました。

参加者「結合したら住居の間取りはどうなるのか?仕事は男女のどちら側になるのか?」
作者「……そのあたりのことも考えてはいましたが、書きだしたらすごい分量になりそうなので、スパッとやめました」

参加者「メイントリックが最初にあったアイデアだったのでしょうか?」
作者「オネストマンの証明が最初にあって、そこから結合人間とメイントリックが生まれました。」

参加者「エピローグの動機は復讐ととらえたのですが、どうなのでしょうか?」
作者「…復讐ではありますが、理屈では説明できない、無邪気な悪意のようなものだと思います」

(あれ、レコーダーで録音していたのでは?と思われた参加者の方は、もう真相を見抜いていますよね。ゲストの白井さんには本当に申し訳ありません。そして、読書会に参加された皆様本当に申し訳ありません。ホストからの謝罪でした。)

その後、好きなキャラクターと台詞では、
「ハチャメチャだけど三人組が好き。」
「栞の『~の気持ちです。』という言葉遣いが好き。」
「みんな一癖も二癖もあるのに、好感が持てる。好きなもので繋がっているって、救われます。」
「正直な言葉で発している台詞に好感。」
「こわいものからは、逃げろ!は真理を語っていて好きです。」
「常識的な人は小奈川だけですから。やっぱり好感が持てます。」
「イニシアチブをとってくれる今井がかっこよかった」
と、ホストが思っていたよりも、極悪非道な人物たちにも好印象の結果となりました。

最後に白井さんから本作についての思いや執筆秘話、ランキングした際の裏話などを聞きましたが、オフレコということで、今回も前作同様、参加された方だけの秘密です。
最後にサイン会と称して、参加者全員が課題本や色紙にサインをいただいて終了となりました。

読書会終了後は、50mほど場所を移動して懇親会へ。
懇親会には10人が参加し、あまり広くない店で、和気あいあいとお酒を飲みつつ、更に突っ込んだ質問やミステリだけではなく、映画や漫画、各自が今読んでいる本などで会話に花が咲きました。
白井さんの「横溝ベスト3」「カーベスト3」を訊き、答えていただくと参加者が狂喜乱舞!メモをとり始める場面もありました。
本読書会、世話人の蒔野さんも2次会から合流して、参加人数最多の9名でスタート。そして夜は更けていったのでした。
2次会会場のラストオーダーが言い渡されたのは深夜1:00過ぎ。18:00から懇親会が始まり、時間を忘れて話し込んでいました。お酒を召して深夜まで付き合わされても、白井さんは好青年のまま静かに微笑んでおりました。

白井さんの次回作に期待して、本日の読書会は閉会となりました。
白井さんは現在、シリーズ第三の長編を執筆中とのことです。

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さて、月替わりで、国内ミステリーと翻訳ミステリーを交互に課題本に掲げている当読書会。
次回は、カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』を4月16日に予定しています。

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